スケーティングの基本原理

ブレートに与える力

基本的なV時ストロークで滑ることを考えてみよう。
スラスティング・レッグは、現在の方向に滑走しながら押さければならない。
そもそも、ブレードはほぼ垂直方向に押す場合は安定して支えになるが、
少し角度が斜になるとブレードの縦方向にスライドしてしまう。
しかし、慣れてくると不思議とブレードに対してななめ方向の力も支えられるようになる。
この時の原理は、以下のような積み木のモデルで説明出来る。



ななめに切れた積み木を図の様に縦に重ねると(A)、積み木間の摩擦が小さいので、
上の積み木は自重で下に落ちようとして横にスライドする。(B)
これは、ブレードに対してななめに力をかけて押した時とよく似ている。
しかし、ここで横から支えて横にスライドしないように横方向の力(緑)で支えると、
上の積み木(オレンジ)は、下の積み木(青)に乗ったまま支えられることになる。(C)

 これをV字ストロークのスラスティング・レッグに当てはめてみよう。
下図左のAの様にブレードに対して直角に力を加える場合は、その力をそのまま
100%ブレードのエッジが受け止めてくれる。



このときの力を縦横の力にベクトル分解したのが右のBになる。
このとき図で下向きの力(緑)を積み木の自重、左向きの力(赤)を横から支える力と
対応させることができる。
こう見るとブレードに、下向きの力(緑)を加えそれを支えるためには、左向きの力(赤)を
それ以上にかけてやらないと駄目だということになる。
逆に左向きの力(赤)を余分にかけるとブレードは上向きに動かされることにもなる。
このことから見ると、V字ストロークのスケーティングでブレードにかける力のほとんどは、
真横に近いことがわかる。スラスティングは、前後ではなく、左右に押すことによって加速する。

 現実には、あり得ない話であるが(忍者なら出来そう?)、下図の様なビル登りとV字ストロークの
スケーティングがよく似ていると思うのである。



 この基本原理は、フィギュア・スケートの微妙なカーブで体重と遠心力をエッジで適切に受ける際や、
ジャンプでの制動にも適用出来る。ただし、微妙すぎるので頭で考えても無駄だろう。
適切なエッジ・ワークは、必ずしもブレードに対して垂直に力を受けることではないということだ。

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