氷忍者のスケート観(2)


アイス・スケートを始めて10年を過ぎた

始めて滑ったのが1997年12月6日。
その頃は、30歳を過ぎて始めてジャンプなど出来るようになるとも思っていなかった。
こんな滑らかな滑走が出来ればいいな、と思っていたそのイメージは
3年くらいで実現してしまった。といっても理想が低すぎるか・・・
ここ数年は、初心者の足首グラグラ問題とか、いくつかの疑問を解決するために
初心者相手にアドバイスしたり、というのをやってきたが、基本的な動作を
やってみせるうちに、自分の基礎固めになって、刃に正確に重心を乗せると
ここまで滑らかに滑るものか、という状態に何度も遭遇するようになった。
良くない状態も自分がどうやっているか、説明できるようになってきたし
時間が解決してくれるものは大きいと思う。
自分もかつてそうだったが、滑走が不安定な人は、横から見て足首が直角のまま
曲げないことが多く、自力で滑るようになる人によくある傾向だと思う。
ある人がホッケー系の人にアドバイスを受けて安定するようになったとき、
前の姿勢とどう違うかを比べるとどうも足首の曲げが大きくなっているのだ。
ホッケー系の人も足首を曲げろという指導はしていない。
足を肩幅くらいにしてあまり開き過ぎず、少ししゃがむようにして素直に
足の上に体重を乗せて踏みながら歩きなさいといった指導だった。
しかし、見て分かるポイントとして足首の曲げは明白で、初心者を観察して
安定性とその関係を見ても、ピンポイントで足首を曲げるように指導した
効果を見ても、結構有用なノウハウだと思う。
きちんと指導するなら、足首だけでなく総合的な姿勢を当てることになるだろうが
本人が自分で姿勢チェックする上では、分かりやすいと思うのだ。
最初の靴で滑っていた頃、つま先側(足指の根元)に体重をかけ、踵をもっと
後ろに引くととても滑らかに滑れるのに、と思っていた時期がある。
今思うと、それがフィギュアの乗り位置であり、そこに体重をかけるには、
足首を深く曲げる必要があったのだが、靴が新しく足首が曲がりにくい状態で
初心者には、靴に負担をかけてまで足首を曲げなければならないとは
思えなかったので、当時は理想のフォーム、重心位置にたどりつけなかった。
ストップを行う際の安定にも足首の曲げは重要な要素となる。(足首だけではないが)
自分の場合膝は、意識して曲げるが、足首と股関節は、無意識に調整していて
アクセルジャンプなどが毎回違ってしまう原因になっていることも分かってきた。
持論のくの字解消問題とか、アクセルでのスケーティングレッグからフリーレッグ側への
体重移動の原理とか結構色々な謎が既に解けている。
スケートを始めたとき、自分は回転軸の作り方が分からないので、スピンなどの
回転技は上達しないと思っていたが、やっているうちに次第に見えてきた。
物体は重心を中心に回転するという力学の原理も実感できた。
重心が通っていないところに無理矢理回転軸を設定してもうまく回らないし
スピンに入るターンの前後で重心移動があると必ずスピンが流れることも分かった。
これらについては、折りをみてまとめて行こうと思う。

アイススケートの滑走の原理

あるスケート関係のWebの記事を眺めていると、氷の上をスケートの刃がなぜ滑らかに滑るか、
ということに関して、「摩擦熱説」というのが、まことしやかに書かれていた。
この説は、とっくの昔に駆逐されたかと思ったのだが、書籍を調べてみると
1994年10月発行の「スケート教室」瀧澤甲子彦[(財)日本スケート連盟普及部長]著
にも摩擦熱説が現在の定説となっていると書かれていた。
1901年 レイノルド「圧力融解説」
1939年 パウデン「摩擦融解説」
と、発表順序は、摩擦熱説の方が後らしい。(後の方が正しい?)
どちらも氷が溶けて、水が潤滑剤となって滑らかに滑るという点は変わらない。
問題は、どういう理屈で氷が解けるかだ。
私には、摩擦融解説なんてとても信じられない。
その理由は、現象と矛盾するからだ。
・そもそも滑らかに滑っているものに摩擦は働かない。
 氷を解かすだけの熱が発生するとしたら、相当抵抗を感じる筈。
 あれだけ滑らかに滑って、氷を解かすだけの摩擦熱は出ないと思う。
・仮に熱が発生しても、これから刃が接触する新しい氷面に伝達しなければ
 氷を解かせない訳だが、刃の鋼の比熱は小さくて、氷の比熱は大きいし、
 恐らく、氷に熱を伝えるより刃のほかの部分に熱が分散する方が早い。
 時速10Kmで滑ったとして、鋼から氷への熱伝導率や伝達速度を考えると
 そんなに瞬間に熱が伝わるとも思えない。
・ザンボニが表面に塗った水が凍るのは、思ったより時間がかかるように
 温度で解けた氷が、そう簡単に再氷結するとは思えない。
 実際には、滑走で解けた氷は、刃が通過した後、瞬時に再氷結している。
一方、圧力融解説に関しては、ウィキペディアののページの水の三態のグラフで
0℃の固体と液体の境界を見ると圧力 1atm(1気圧)を境界に圧力が低い方で固体で、
高い方で液体になるようなグラフになっている。
このグラフで液体と固体の境界は、圧力が高いほど融点が下がることを示している。
1気圧は、1平方ミリメートルあたり10g重くらいになるが、
スケートで滑る場合、数平方ミリメートルに数十キログラム重の圧力がかかるので
-10℃くらいの氷なら、この圧力で解けてしまうだろう。

別のサイトで、圧力融解説に対する疑問が提示されていたので補足。
まず、ここでの議論は、どちらかというと、氷を融かして、レールのように溝を作る原理
ということになっていました。
水の潤滑なしに、滑らかに滑るか?という点では、実証データはありません。
少なくとも、温度が低い氷の方が摩擦が大きく若干滑りにくいのは確かです。
また、よく研いだブレードの方がよく滑ります。
ブレードを滑らかに研いも、恐らく潤滑作用は、必要でしょう。
私の経験では、スケートリンクの氷の温度では、温度が低くても氷は融けているのだと思います。
空気中の水蒸気がリンクの氷表面に昇華して、キラキラと輝いているようなとき、
氷の温度は、相当低くなっているのですが、スピードスケートのブレードでフラットエッジで
立っているとブレードの底面が凍って張り付くことがあります。
ということは、張り付く直前までは、液体だったことになります。
フィギュアスケートのブレードで温度が低い氷を滑るとき、カーブで氷をバリバリ割って
滑るような時がありますが、この場合は、融かし切れていないと思います。
それでも、滑った跡がつくということは、融けているんですよね。

スピンで目が回らないのはなぜ?

訓練によって、目が回らなくなることは明白である。
ただ、それが感覚器官からの指令を単に遮断しているのかどうか?
単なる遮断ではなく、意識的な姿勢予測を含めた脳内のフィードバック機構で
相殺しているような感じがする。
初心者の頃は、目が回るにとどまらず、乗り物酔いと同様に吐き気が起こることもある。
あと、姿勢制御能力も無視できないと思う。
回転角あたりの移動量は、回転軸から離れる程長くなるので、感覚器官も
回転軸に近い方が回転の影響を受けにくくなると思うのだがどうだろう。
回転軸に対して頭を一定の位置に固定できる人は、回転を予測出来るので、
感覚を相殺できても、固定出来ずふらふらする人は、その動きを予測できないので
回転感覚を打ち消すことが出来ないというのはどうだろう。

オリンピックの年齢制限問題

浅田選手が年齢制限でトリノ・オリンピックに出られなかった話は有名だが、
長野オリンピックでのタラ・リピンスキー選手とミッシェル・クワン選手の
表彰式での事件が思い出される。
負けを認めたクワン選手がリピンスキー選手に握手を求めたところ、
その大人ぶった態度が気に入らなかったらしくリピンスキー選手が
握手を拒否してちょっとした喧嘩に。
ちっちゃい女の子恐っ!という一幕があった。
スポーツマンシップを前提としたスポーツの祭典として起きてほしくない
出来事だった。相手の顔も見たくないくらいライバル意識を燃やして、
辛い練習をして・・・あの年齢では、仕方が無いことだと言えましょう。
たまたま浅田選手には、そんな危険はないけれど、規則は規則。

古本の入手

『パニンのスケート』河久保子朗、江守榮作 共著
『スケーティング』河久保子朗著
を古本で入手。
しかし、明治時代の旧漢字を覚えないとなかなか読めない。
 身體、圖型、圓形、出發點、廻轉、變更、反對、確實、其儘、
 續ける、總て、數へる、盡くす・・・
コンパルソリー(スクールフィギュア)に関して、
「フィギュアスケート技術百科」ですら、ここまでは書いていなかった。
コンパルソリーは、100年前に、既に完成されていたものなのだ。
パニン氏の原書がとても優れていたのだと思う。
昭和初期のスピンは、まだ一点で回転するのではなく、回転しながら
流れている(トラベリングしている)ようなトレス図になっていた。
また、グレープパインという聞いたこともなかった図形や、噂には聞いていた
チューリップのような特殊図形についても色々と紹介されていた。
【参考】
Wikipeia ニコライ・パニン
Wikipeia スペシャルフィギュア

ここ数年で感動した演技

村主選手が佐藤コーチから学んだ、精密なサークル滑走を取り入れたプログラム。
浅田選手の正確なブラケット・ターン。
安藤選手の見事なルッツ・ジャンプ。
ちなみに、安藤選手は、フリップがアウトサイドになる癖があり、
最近これを克服したらしい。これは珍しいケース。
一般的には、ルッツがインサイドになってしまう選手が多く、
インサイドで踏み切った正しくないルッツは「フルッツ」と呼ばれる。
浅田選手も典型的なフルッツだったが、タラソワ・コーチのもと
正しいルッツを身につけることが期待される。

タラソワ氏とモロゾフ氏

この二人は金メダルメイカーと呼ばれるように、フィギュアスケート界への貢献は
とても大きいと思う。
振り付け師のニコライ・モロゾフ氏は、タチアナ・タラソワ氏と組んでいた時期がある。
結局、大元はタラソワ氏なのか。
長野オリンピックで、教科書のような模範演技だと思った、イリア・クーリック選手の
コーチがタラソワ氏だと聞いてなるほど、と思った。

浅田選手がラファエル・コーチから学んだこと

初見、今までの演技と比べて、アメリカン・スタイルになったと思った。
私が言う、アメリカンスタイルとは、体が大きい男子の伸身的なフォームで、
かなり固い演技に見えた。
良い点としてフライングキャメルに入るときのダイナミックさは、浅田選手に
今までなかった点で、コーチの影響を色濃く受けているように見える。
しかし、トリプルアクセルの成功率が下がってたんだよね。
山田コーチなどが育んだ、回転軸への配慮がないというか、考え方が違ったんだろう。
若いうちに色々なコーチから学ぶことは良いことだと思う。

スケートと重心

私は、氷をしっかりと押せる滑走が、優れた滑走だと思う。
安定を保つために乗るというより、氷を有効に押すために乗る必要がある。
2足滑走の場合は、片足から片足への完全な重心移動が原則。
初心者で重心はどこに置くんですか?と分かった風に聞く人があるが、
じゃあ、あなたの重心はどこにありますか?と聞き返すと分かっていない。
体重が片足にほぼ完全に乗った感覚は、それを探り当てた人には感覚として分かるが、
それをどういう姿勢でどうやったかは、なかなか覚えられない。
単に、「エッジに乗る」ということも結構意味深く、言葉の意味する条件を満たし
継続的な動作で乗ることを正確に維持するのは案外難しい。
しかし重心位置は、客観的に見るときちんと重心が取れているかわかるものだ。
ハイスクール・ミュージカルのダンス・テゥーゲザーのコーナーで、
主人公役の俳優が振り付けをコーチしてくれるが、この見本演技の
重心位置は、各キーボーズでほぼ完璧に見える。
スケートをやっていなかったら、そういうのも分からなかったと思う。

2008 グランプリシリーズフランス大会

浅田選手は、まだ調整中な感じ。というか、他のジャンプへの影響が大きすぎる。
ルッツに関して改善しているように見えるけれど、根本的には変わっていない。
アプローチカーブに乗れていない。フラットエッジな感じ。
エッジが違うというのは、滑走のカーブが逆だし、エッジが氷を押さえる方向が逆となり、
エッジだけの問題では済まない。小手先だけで直そうと思っても直る筈がない。
エッジに乗るというのは、重心もカーブに沿いながらきちんとカーブして、
なおかつジャンプ直前まで円弧の内側に重心が保たれていなければならない。
そのためには、自然にカーブの内側方向に体が傾いているはず。
フリップとルッツは、全く別ものに感じている自分は、特殊なのかと思うくらい
多くの競技会に出る選手が、その2つの混同している。
自分の感覚では、インサイドジャンプは、内股系、アウトサイドジャンプは
ガニ股系だと感じている。だから、フリップとルッツとは、膝の構え方が大きく異なる。
普通、ジャンプを意識すると感覚的には、カウンターカーブに乗れるとは思えないからね。
自分がどの方向に滑走しているかが分かりにくいので、一定のカーブを
保持することすら難しい。
とはいえ、感覚的に乗れるのだと分かれば、独特の感覚があって楽しい。
特に、順方向ジャンプでは、予めチェックして回転の溜めを保持しないといけないのが、
カウンタージャンプでは、何もしなくてもアプローチに入ってからネジを巻くように溜まって行く。
こう書くと都合がいいように思うかもしれないが、逆回転の溜めが大きすぎると
回転に移れなくなるのだ。
自分もルッツは、1回転しか出来ないので3回転するにはカウンターカーブに
乗りすぎては出来ないのではないかという印象を持っていたが、
完全にカーブに乗り切って3回転跳んでいる選手も居るので、
ああ、出来るんだ。
という風に見ている。
ルッツもまた、他のエッジ・ジャンプやターンと同様に、進行方向に対して後方乗り位置から
前方乗り位置への重心移動、つまりバックの場合はつま先から踵への重心移動で、
アプローチカーブを巻き込んでカーブ曲率が強くなることで、自然に体が浮き上がるようにする。
そのためには深いアウトサイドに乗っていないといけないし、何よりタイミングがシビア。
回転方向のギャップは、足首が吸収することになるだろうから、かなり負担がかかる。

2008 NHK杯

男子シングルは、無良選手がなかなかいい。自分は、スケートは、芸術である前に
スポーツだと思っているから、ジャンプは高さが命。本当に高く跳べるということは
原理的に無駄のない必然的美しさに到達するものだ。
毎週通っているリンクで最近恐そうな老コーチを見かける。
リンク所属コーチになっているようだ。
調べてみると無良選手の父親のコーチをしていたらしい。
織田選手は、回転軸が素晴らしいけれど、力強さが感じられない。
浅田選手のフリーでルッツを見たけれど、カメラが遠くて分かりにくい。
ジャンプ後のスケーティングレッグの足首の角度を見ると、アウトサイドを
保っているように見える。ルール上は、OKかな?どう判定されたかは分からないが。
足首に関しては、イリア・クーリック選手と似たような感じ。
パッと見て変わったのが腕の構え方。以前は、チェックし過ぎていたのが、
緩くふわっとした感じに構えている。
フルッツになる人でも、一度は深いアウトエッジに乗るのだけど、踏切り直前に
インサイドになってしまう。アウトサイドを本能的に維持できない。
浅田選手の場合もそうだけど、NHK杯では深いアウトサイドから一度インになってから
踏切り直前でまたアウトサイドを取り戻している感じだ。
フォームに関しては、トウをつく側の腰が開き過ぎ。
安藤選手のルッツをお手本にすると、安藤選手のは締まっていて、トウをつく位置が、
スケーティングレッグにかなり近い位置にあることが分かる。
2回目のトリプル・アクセルは、3回転くらいでしたね。(半回転不足)
地デジのハイビジョンの録画でスロー再生して見て納得しました。

2009 世界選手権

男子シングルは、全体的に元気がない気がした。
アイスダンスは、アメリカとロシアが良かった。
女子シングルでは、安藤選手が素晴らしかった。
テレビで言わなくなると、ほとんどの人が気にしなくなるのだが、
浅田選手のルッツへの挑戦は続いているようだ。
直すという観点で言えば踏切時のインサイドは、だいぶフラットに
なっているのでかなり頑張っているように思う。
しかし、トウのつき方などの動作がフリップなのだ。
インサイドからアウトサイドへの矯正のためか、かなりつま先乗りになっている。
これでは、まだエッジに乗って踏み切っているとは言いがたい。
一方、シズニー選手のルッツを見るとこれは見事だった。
タラソワ・コーチは、ステップの指導中心で、あまりジャンプに関して
指導していないようだ。しかし、懸命なコーチなら出来上がった選手の
ジャンプに手を入れようとはしないのが普通だ。
一時期、浅田選手も相当に崩れた。これくらい崩れてしまうものなら
ルッツを捨てて他で点を稼いだ方が賢いかもしれないと思うくらいに。
スケートは、小さい頃から始めないと、大人になってからでは
難しいと言われる。恐らく、浅田選手がルッツを習得するのは、
大人がフィギュアスケートを習い始めるのと同じくらいの難しさが
あるのかもしれない。一つを直すと他が引きづられる。
安藤選手は、トリノ・オリンピック前に大改造をやって、その最中に
オリンピックに出てボロボロの演技をしている。しかし、見る人が見ると
古い技術を解体して、新しい技術のカケラが輝いて見えているような
そういう状態だということが分かるだろう。
その後3ヶ月くらいで整うかと思っていたら、半年から1年かかって
まとまりを見せて来た感じだった。
浅田選手もそれくらいの大改造を行うつもりなのだろうか。
タラソワ・マジックとは、金メダルメーカーとしての奇跡というよりは、
習った人が、難しくて自分には出来ないと思っていたことが、
フォームや足の運びなどの指導で、あれ?何で簡単に出来ちゃうの?
と思ってしまうくらい的確な指導をするところにある。
そういう意味で見ると、山田コーチから学んだ基礎を理想的に
身につけている浅田選手は、タラソワ・コーチの指導後に何か大きく
変わったかと言われると、その前からステップでも凄かった
という印象なのだ。タラソワ・コーチについて目覚ましく上達する
選手は、感覚に頼りすぎて何らかの基礎を欠いていたのではないかと思う。
ルッツ・ジャンプは、カウンター・ジャンプなのでコンパルソリーの
カウンター図形を練習すればいいのではないかと思ったりもしたが、
今の自分の見解では、ブラケットのターン直前のエッジワークを
長く保つ感じだと思う。カウンター図形は、直立姿勢で行うけれど
トウ・ジャンプの姿勢は、スパイラルに近い姿勢になる。
氷と胴体が平行になった状態から胴体を垂直に立てると、
いくら注意深くアウトサイド・エッジに乗っていても、どうしても
逆カーブに乗り換えてしまうことになるというのが自分の経験だ。
器用な人は、感覚に頼りすぎるのだけど、感覚に根拠はない。
錯覚にだまされる。
競技用のジャンプの中で、ルッツだけがカウンター・ジャンプで
その他は、スリーターンを基本とする。だから、スリーターンの
感覚でジャンプをしようとしても駄目なのだ。
浅田選手のルッツ踏切時の重心がトウに寄っているのを見たとき
フォームの変更から、インサイドでエッジを押していたのが、
つま先で押すようになったのだと感じた。ということは、
3回転ルッツともなるとそれくらいエッジを押しているということだ。
では、アウトサイド・エッジで押すようになると・・・
ルッツは、直線から、ツーッと徐々にアウトサイドを深めて
ジャンプするのが一般的な方法だが、直進滑走のまま、深い
アウトサイドに乗って体を傾けるとそのまま転倒してしまう。
ということで、カーブに乗っているから遠心力で傾けられるのだと
思っていたが、最近の私のアクセル・ジャンプの研究からして、
直線でいいのだという結論を得ている。どうやっているかというと、
ルッツの場合スケーティング・レッグの膝に胸を被せるように乗って
スパイラルに近い姿勢にする。このとき滑走方向と胴体の向きは
滑走方向から30度〜90度くらいの範囲で時計回りに回転させた
角度に保つ。胴体の向きは、ほぼ腰の向きを意味し、股関節は
開いて緩んではならないのでほとんど足首だけで角度を維持する。
この姿勢で深いエッジに乗ってエッジを押すと、前方に
アウトサイドのT字ストップをかけるような押し方になる。
横に押すのかと思ったら、手前に押す感じの方が強い。
床上でやってみてなかなかいい感触を得たが、実際に氷の上で
やってみたところ、同じように出来たので考え方は合っていると思う。
下図が、反時計回りのルッツ概念図



足マークは左足(スケーティング・レッグ)、×は、右足トウ。
斜め線が、それぞれの足の位置での胴体の向き。
踏切時点で踵は、トウをつく位置の右側を向いているが
エッジを押してジャンプ動作に入ると、不思議とトウの左側を
通過している感じだ。

グランプリシリーズ2009

小塚選手は、あと2年くらいで高橋選手くらいになるのではないかと思う。
意外に遅咲きな感じだ。彼の高速スピンは、バックスクラッチではなく
クロスフットだね。バレエのピルエットの要素を基礎にしている感じ。
Webで伝説のブラースピンもクロスフット系のようなので、
これからもっと高速化するかもしれない。
何か、浅田選手は、だれがコーチをやっても合わないみたい。
コーチは、優れた逸材を手にすると自分が出来なかった事をさせようと
するなど、よくない傾向が出てしまう。人間だから仕方ないが。
コーチは、自分がしっかりとマスターした事を余す事なく伝授する
という姿勢が一番望ましいのだが。
才能ある者は、先人に翻弄される事なく、しっかりと学べるものは学び、
自分のやるべき事を自分で見出して挑戦しなければならない。
ショートプログラムは、体力的に丁度いい感じだが、フリーになると
ちょっと過酷な感じがする。確かにあのステップは、玄人から見て
重厚な感じがするのだろうと思う。しかし、一般受けは良くないし、
現実問題、ジャッジが評価していないように思う。
フィギュアスケートとしての軽快さがないからだろう。
それから、浅田選手のトレーニング方法は最善なのか?
基本、この種の練習は、反復練習以外ない。
無意識でやることなので、体に感覚を覚え込ませるために。
ほぼ完成の域にある技なので、注意深くフォームを確認して
違和感を感じないように調整して行くのが望ましいと思う。
確かに陸上でのバランス練習や筋力トレーニングは、プラスに
なるだろうが、タイミング要素もシビアだし、鍛えなければならない
特定の筋肉が見落とされたり、偏った筋力トレーニングで
同じ感覚でやっているつもりが、違ってくるというのはまずい。
今季の浅田選手のトリプルアクセルは,腰が後ろに残っているために
腰が大振りしている感じがする。
上手く行っているときは、股関節を深く曲げながらも、腰を出来る限り
前に押し出すような感じで締まりがあるフォームに見える。
浅田選手の演技には、よくこの姿勢でこのエッジに乗れるなあ・・・
とかいう感動があり、新鮮だったけれど最近は傾向が違う。
ステップは、エッジワークで見せるべきだと思うなあ。
ツイズルをいくらやっても、流れたスピンの様で中途半端。
あれはあれで難しくもあり、ちゃんとしたエッジワークで
成立しているのも分かるけれど。
最近、ステップにループ図形が見られるが、ループ図形は、
ループ玉を軽やかに抜けたときが最も美しい。
残念な事に、抜けた直後、踏み替えで止まってしまうものばかり。
一方、キムヨナは、伊藤みどり選手に次ぐアプローチの滑走速度で
ジャンプをしている。先シーズンくらいから速くなって驚いた。
フィギュアスケートらしい進歩をしている感じがする。

幼児スケート教育プログラム

なるほど、ひょうたんと両足蛇行を使うのか。
まあ、自分も、ひょうたんをtoolとして使っているが、バックだけではなく
前進にもこの練習方法は初心者にとって良い。
初心者には、ひょうたんが相当難しいものだと思う人が多いのだが、
小さい子は、本能的にこの動作を好むし意外に簡単に覚える子が多い。
しかも、両足なので安心して前進加速の動作が習得でき、氷を押すための
筋肉も鍛える事が出来る。
悪い癖がつくこともなく、遊びながら自発的に上達できる方法が望まれるが
その点でも問題はないようだ。
とはいえ、どんな人に対しても通用する教え方はないものだ。
また、どんなに良い教え方をしても悲しいかな一週間すると全く出来なく
なっているということが多い。
さりげなく、ちょっと姿勢を直すだけなのだけど、人がついていないと。

NHK杯2009

男子も女子もショートプログラムは、地味〜に、いい感じ。
小塚君は、スタイルを変えて来たね。何か足の爪先が向いている方向が
今までと違うという印象だ。
前大会までスピードは乗って来ていたが、何か型にはまりすぎて
打ち破れないもどかしさがあったが、どうしてもジャンプに
それが残ってしまっていて・・・
彼の潜在能力は、そんなものではなく・・・
ただ、筋力なのか、スタミナなのかベースとなる何かがまだ足りない。
現在持ち得る技術があれだけありながら、氷に対して正しく
向き合っていないというか、受け流しで見せているというか。
NHK杯ショートでは、荒削りで、凄くスピードのムラが目立つが
方向性は良いと思う。プログラムは個性的で独自色が強く出ている。
高橋選手には、また新しい境地を見せてもらった。ステップで転んでたけど。

全日本選手権2009

小塚選手の成長が遅いのは、中野選手と良く似ている。
つまり、そういうことだね。一歩一歩着実に。
浅田選手は、かなり守りの演技でした。
アクセルのフォームは、深目だけど深過ぎず、何回も繰り返す中で
最も安定した結果を出せる形に落ち着いたという印象。
あの猛烈に体力を使うステップは、浅田選手に合うのかは疑問だったが
得点を稼ぐためには、もしかしたらそれしかないのかも。
たとえば、身体能力に優れた、ある意味細マッチョな荒川選手だったら
過酷さを優雅さに変えて演じ切る事が出来ると思うが、
浅田選手の場合は、ちょっとスタミナ面で無理な気がするのだ。
かなりプログラム全体を壊しているようにも思えた。
無駄な動きで体力を消耗しているようにしか見えなかった。
フィギュアスケートは、とにかく偏る事を嫌うので、そういう意味では
トリプルアクセルを同じプログラムに2回というのも、あまり望ましい
事ではない。
オリンピックでの浅田選手に何を期待するかというと、年齢制限があり
出られなかった4年前だったら、どんな演技をしただろう、というそんな
ものであったり、細く、軽く、妖精のように敏捷なものであったり。
とはいえ、現在は違った魅力も生まれているし、何が出てくるかはお楽しみ。
自らが本番の演技を楽しめるまで、とことん練習するしかあるまい。
全日本選手権のスコアは、かなり甘くつけられているので、今の成績で
キムヨナに勝つのは難しいだろうと思うが、何か一工夫できないものか。
直接得点にならないサービスとかチャレンジとかも含めて。
オリンピックが終わったら、ルッツの修正をするチャンスだと思うが
今後そういったことも必要になるのかもしれない。


Olympic Winter Games VANCOUVER 2010

高橋選手は、4回転に挑戦したのが良かった。転んでも銅。
安藤選手は、作った色気などもなく自然で良かった。
スピンの入り方等などにトリノに挑んだ時と同様のピュアーさを感じた。
しかし、前回のオリンピックから成長出来たと自己評価しているが、
トリノの失敗は、コーチを変え、フリップ・ジャンプを修正する中、
それを安定化させる時間がなかったという準備不足が原因でしょう。
選手にその自覚がないというのがおかしい。
今のフィギュアスケートは、アスリートとコーチの分業化が進みすぎて
選手は、ただ演じるだけになっている傾向がある。
コーチの持っているノウハウは、薬の処方箋のようなもので、
内容を明かさずとも、病気は直せるから選手に処方箋の内容を伝えないまま
直しているようなところがあるのだ。
山田コーチの比較的オープンな指導は、正確なノウハウを伝えないまでも
父兄に処方箋が漏れるのを恐れず、仮に父兄が間違った指導をしたとしても
それは修正可能と考え、父兄の力を借りた方が選手が伸びる、としている。
一般のインストラクターは、海外から優秀な選手を招いても金がかかるという
経験を経ていたり、ノウハウ・ビジネスだと思っていて、技名ですら
知られたくないと思っているのが普通だから、まだまだそうも行かない。
(インターネット時代になってだいぶ変わったかもしれないが)
浅田選手は、ノーミスでもキム選手が大きな失敗しない限り
金は取れないと見ていたのだけど、予想通り。
スタミナ切れの問題に関しては、赤筋より白筋が多い体質ではないかとか、
プログラム構成としてジャンプ要素とステップ要素の両立が難しいなど
色々と言われているが、理由はともかく無理があったと思う。
今回浅田選手は、タラソワ・コーチに義理立てしている部分も大きい。
でもタラソワさんは、イリア・クーリックのコーチだったということだが、
浅田選手には、アイスダンスの要素しか教えていない。
(やっぱりツイズルも、二人でやってこそ見栄えがする気がする)
この点は、ロシアの政治的圧力がかかってなければいいなあ・・・とは
思っているが、もしかしたら何かあるかもしれない。
ロシアから何か学びたかったら、まずはロシアの文化と歴史に敬意を払う
必要がある、と言われているような気がする。
新採点システムに関しては、加点要素や、技術以外の部分に、
まだまだ曖昧な部分がある。
しかし、どういう演技をしたらどう加点されるかなど詳細に
今までのデータを調べないと詳しい事は分からない。
フィギュア・スケート・シングルの競技は、片足で滑走する事が
基本なのだけど、今回の浅田選手のステップは、片足のエッジに重心が
乗り切っている事が少ない。ステップで点数が出ない大きな原因だと思う。
後は、ジャンプに入る時の滑走速度がそれほど速くない事。
特に、コンビネーションジャンプの最後の着氷でツーーッと
アウト・エッジで滑り抜けることが出来ると加点がもらえると思う。
今回、キム選手だけでなく、ロシェット選手もジャンプに入る速度が
速いと感じた。この点では、浅田選手は、銅メダルの選手に負けている。
さて、正しいルッツの習得をどうするか・・・
ルッツ・ジャンプは、トウ・ジャンプだが、そもそもトウ・ジャンプは
十分に体を傾けてカーブに乗れない人のための補助のためにトウを
ついて行ったことが始まりなので、トウ・ジャンプそのものを目標にしたのでは
アプローチでの正しいエッジワークの練習にはならないことが多い。
今、ワン・フット・ルッツ・ジャンプを教えられるコーチが居るかどうかは
知らないが、1回転でいいのでこれをマスターするのが良いだろう。
もしかするとISU図形No.22a後半 を練習するとターン直前の腰と
フリーレッグの構えや動かし方のヒントになるかもしれない。
(ルッツ・ジャンプでは、どちらもほとんど動かさないのが普通だが)
浅田選手も、コンパルソリー(規定)をきっちりやっている世代ではないと思うが
やっているのかなあ・・・
そういえば、この間フィギュアスケートのうんちく番組で、コンパルソリーは
「地味〜」と言っていたが、選手から見るとその難しさと集中力、達成感から
とても地味という印象ではないと思う。
番組で、伊藤みどり選手がトンボめがねをかけて出ていたが、
ISU図形No.17の実演映像を見る事が出来た。やはり世界レベルは違う。
伊藤みどり選手といえば、男子並みの高速滑走からのジャンプは定評。
トリプルアクセルを跳ぶために速度を追求した。
高橋選手に引退した本田選手がアドバイスしたように、先輩に学べないものだろうか。

Japan Open 2010

工務店とか農場がスポンサーで、いまいちマイナー感が否めない大会だが、シーズン突入。
浅田選手、いきなり乱れているので調べてみると、2転3転して激動の1年。
タラソワさんには、十分義理を果たしていると思う。
長久保コーチのジャンプ指導だが、テレ東のネオスポーツのニュース映像を
見ると、直ってはいないが、改善はしていると思う。
大きな違いは、腰が開いていたのが、閉じるようになっている事。
何か、「腰を固める」というセオリーでやっているかな?
しかし、ジャンプ動作に入ると、全くもってフリップのまま。
で、現在は、佐藤信夫コーチらしいが、佐藤コーチはジャンプに手を入れる気はない。
長久保コーチも、別にお払い箱になった訳でも何でもなく、教えてもらえる事をきちんと
教わったら、結論が出たということだと思う。
これで恐らく、浅田選手にルッツを教えられる人は、居なくなったと思われる。
体がカウンタージャンプで踏み切れる事を経験していないので、どうしても
スリー・ターン方向のジャンプ動作をしてしまう。
一度でも経験していれば、そうはならないはず。
アウトサイドエッジが、カーブを抱き込んでいない感じ。
極めて一般的な考えで行くと、トウをつくまでアウトサイドエッジを維持する事なので
今のフォームで行くなら、極力ジャンプタイミングを早めると解決の糸口が掴めるかも。
エッジがチェンジする間を与えないようにして、矯正するのが1つの方法。
しかし、この方法では、どこかに歪みが出るし解決にたどり着ける保証はない。
感覚的には、トウをついたとき、スケーティングレッグをどう抜くのか矛盾を感じるが
この点に関しては、トウをつく位置をスケーティングレッグの着氷位置に出来るだけ
近づけて、出来る限り左側にトウをつくべきだ。練習時点では、両足同時踏切がいいと思う。
ルッツなのでどうやっても左足に負担がかかる。
1つのヒントとしては、アウトサイドエッジが、ジャンプ時に十分氷を押せるか。
このエッジワークを追求してみることだ。
まず、エッジワークそのものについて言うと、カーブ曲率は、巻き込んで高めないと
駄目なのだから、ジャンプの最後まで左足の爪先は、反時計回りに捻って、
体全体を左側に傾けておかなければならない。現在は、捻りが完全に解けている。
自分の経験からすると、バレエのプリエをするみたいにもっとガニ股になる。
スリー・ターン方向のジャンプは、アプローチに入ってから、腕や肩を回転方向と
逆の時計回りに捻ると回転がほどけて破綻するが、カウンタージャンプでは
滑走方向と逆になるため、かえって望ましい。
とはいっても、回転方向と逆なので時計回りから瞬時に反時計回りに移る事は難しい。
一般的な立ち姿勢からのルッツのアプローチで、長い直線に乗ることになるのは、
アプローチの間、徐々に時計回りに捻って行き、アウトサイドエッジが十分に
氷を捉えたら一気に反時計回りに捻ってジャンプするということだ。
何か、一般的なルッツの教え方では、肩を含めて腰から上を固定するようなのだけど。
左足のアウトサイドエッジを体の右側に押し込むのに体を時計回りに捻る
という動作をすべきなのではないかと思う。
その昔、村主選手のルッツのフォームは、右腕を垂直に立てていた。
奇妙に見えたが、右肩を時計回りに強く捻っているのだ。
その頃の村主選手も若干フルッツだと言われていたようなのだけど。
左足バックのスネークで蛇行しながら、カウンタージャンプのタイミングを
研究する事は、恐らく他のジャンプに影響を与えず出来る筈。
アウトサイドエッジが入ったとか、氷を抱き込んだとか、そういうエッジワークの
感覚があると思うのだ。
競技会を追放されたプルシェンコは、カウンタージャンプが得意だよね。

NHK Eテレ(教育) スーパーバレエレッスン

第2回を何となく見ていたら、吉田都先生は、個々のフォームを形で覚えていて
全く回転軸は意識していないのに、身につけた身振りは、きちんと
正しい回転軸に沿ったものになっている、という事実に気付いた。
生徒さんは、背骨が回転軸だと思っているような動きだが、指導している
内容を見るとそれを複数のポーズで修正するよう指導している。
回転軸は、フィギュアスケートのスピンの軸と同じだ。
最近、思う事は、物理の力学で、鋼体は重心を通る軸を中心にして回転する
という法則があるのだが、これは要するに、軸足に重心を置かないと
正しい回転は出来ないと言う事なのだ。
安定性のために、重心を足の上に乗せるということを心がけると、
回転を伴う動きを行う際にとても有利になると言う事だ。
スケートで力強く氷を押すためには、一旦軸足に完全に乗らないと押せないし、
スケートの基礎が重心にあるとは言われているが、こんなに影響範囲が
広いものなのかと思う。
しかし、感覚的には、自分の重心がどこにあるか把握している人は少ない。
重心が取れているかは、客観的に見るのが一番手っ取り早い。
また、経験則で身につけていないと、自分で探り当てるのは難しい。
重心も無理矢理1つにすれば、1つと言えるけれどそれはあくまでも
平均の重心であり、分散している事の方が多い。
だから、重心がどこにあるかではなく、分散した重心を1つに集約する
姿勢作りというのも大切になってくる。

2010NHK杯フィギュア

まずは、村上選手。
特徴は、深い股関節の曲げによって、常に腰が足の上に乗っている。
だから、どんな動きをしても安定している。
この辺りの指導が、山田コーチの特徴と言えるかもしれない。
さて、浅田選手だが、今回は乱れてませんね。
タラソワさんがコーチの時と比べて、しっかりどちらかの片足に
重心が乗っています。これが本物でしょう。
練習で見せたアクセルの踏切りは、かなり瞬発的で、まだ押さえ込むだけの
筋力が出来ていないかも。男子並みの力強い跳び方だ。
タイミングが外れてもあれだけ高さが出るのだから、マスターしたら
伊藤みどり選手並みの高さが出るかもしれない。
ジャンプする時の腰の上下動云々言っていたが、浅田選手の元々のフォームは、
腰をアプローチカーブの内側に入れて、足の上にはあまり乗せていない。
弱い筋力で股関節の屈伸をフルに活用したフォームだから。
このとき、重心が円弧の内側に逃げて若干ロスがあるように思っていた。
上下動を抑えると、筋力は余分に必要だが、そのロスが消せそう。
さて、浅田選手の持ち味は何だろう。トリプルアクセル?
私は、極細の回転軸とそれを生かしたキレのある動きと考える。
常に足に重心が乗っている村上選手と違って、踏み替えによる軸足交換の
動作が大きいが、軸足に正確に重心を乗せるタイプ。
村上選手が踵乗り系だとしたら、浅田選手は前乗り系といった感じ。

女子フリー
浅田選手、ショートでは、ジャンプ・タイミングの修正をしても、実質的には
アクセルに影響が出ないものだということが分かった。
フリップが降りられていたので、ルッツを捨てていると思ったのだが、
フリーでは、ルッツの練習の影響が色々と出てますね。
ルッツも、やる気ですね。
フリーでは、集中力が揺らいで、切り替えが出来なくなっている。
ルッツの練習のジャンプ前の右肩のチェック動作が、フリップにも出ている。
本人は、悔しいだろうし、コーチもプレッシャーだ。
伊藤みどり先輩は、「真央ちゃんは、器用だから・・・」などと楽観視
していたのだけど、トップアスリートが、コーチになるとこういう
甘さが出て来るのが1つの問題だね。
器用だと、感覚に騙されやすいという欠点もある。
一通りの経験をしてからの感覚で、ならば問題ないが、未経験の動作を
想像して感覚で、というと、経験した中で近いもので代用した
イメージを作るから、その罠から抜け出せなくなる。
今回のフリーでのルッツは、長久保コーチについていた頃と比べると
序盤に右腕を構える方向が変わっている。これは良い事だと思う。
直前に右腕を後ろから上に上げているが、今のようにそれを真横に
振り下ろすと、腰から下を反時計回りに回転させて良くない。
振り上げて構える場合、真後ろから腰方向に振り下ろして胸を垂直に
立てる助けにした上で、体の前で下腹から抄い上げるようにして
回転に使うことになる。
自分がトウ・ループやインサイド・アクセルを練習するのに混同して
困ったのが、回転軸の考え方だ。
それは胸を氷と平行に構えた姿勢、典型的にはキャメル・スピンの姿勢で
腰から上は、氷と平行で、腰から下は垂直となっている時に起きる。
股関節を境界に回転軸が直行しているからだ。
このとき、ジャンプの軸を腰から上で考えるか、腰から下で
考えるかなのだけど、感覚的には、腰から下(Y軸)で考えると
胸を水平に大振りして変な事になってしまう。
だから、回転そのものは、腰から上の胸の軸(Z軸)で考えないといけない。
ルッツの場合は、もっと複雑で、腰から下(Y軸)は、時計回り。
胸の軸(Z軸)は、反時計回りにしなければならない。
トウをつく右足を振り下ろす動作に関しては、腰から下(Y軸)を
時計回り回転に寄与するように振り下ろさなければならない。
自分の場合、この逆回転の2つの回転がねじれて融合する独特の感覚が、
新境地を開いてくれたような気がする。
浅田選手がルッツを練習してフリップにどう影響が出るかについては、
肩の構えの問題もそうだけど、トウをつく位置がルッツに引きずられてか
イン・エッジが浮いてしまう傾向が見られた。
無意識にある反射動作のネットワークは、複雑だ。

2010 グランプリシリーズ・フランス大会

ショートプログラムの結果から
以前、『小塚選手は、あと2年くらいで高橋選手くらいになるのではないかと思う。』と
ここに書いた事があるが、そろそろその領域に入って来たと思う。何かが変わった。
それとは別に、ジャンプの軸が、彼のクロス・フット・スピンくらいに細くなっている。
相当4回転の練習を積んだのだと思う。
ステップは、一部ヨロッとした場面もあったが、彼のエッジワークは、
相当深いので、高橋選手が踏むステップとは、随分と趣きも難易度も異なる。
アイスダンスのステップではなく、フリースケーティングのステップだと思う。
女子は、長洲選手が疲労骨折後の復帰ということだが、それ程太ってはいないものの
体はかなり大きくなっているのでリスクは高くなる。ジャンプの着氷時など無理があると
怪我につながってくる。日系の選手もクリスティー山口といった先人も居て
その流れを汲んでいるのかと思うが頑張ってもらいたい。
彼女の不思議なニューアンスの日本語の中に、「ラッツ」という単語が出て来たが、
なるほどアメリカ英語では、ルッツは、ラッツなのかと納得。
ただし、本人は決まったと言っているが、長洲選手も正確なアウト・サイド・エッジで
踏み切ってはいない。ちょっと左足首の角度を保持すればごまかせるくらい微妙だが。
長洲選手は、柔軟性とスピンを得意とするタイプだからその長所を生かす事が
何より大切だと思う。ステップに於いては、練習不足か肩の動きがかなり遅れていた。
動きの中に、日本人的な要素を感じたけど、誇張せずナチュラルであれば日本的になるだろう。
日本人が持たない魅力もあるので、ディズニー映画のヒロイン的な演出の方が似合うかも。
浅田選手は、悔しいだろうけど今は我慢するしかない。
ステップには、タラソワさんから学んだことが彼女を支えているように見えた。
世間の期待からすれば、酷評されようが、今シーズンの投資は、今後の大きな糧となる。
フリップ・ジャンプは、フルッツもどきから脱却しつつある。
佐藤コーチの指導する瞬発的な踏切りは、フリップジャンプにも大きな浮力を
与えているが、本人は、昔のままのジャンプのつもりでやっているから着氷が合わない。
素直に体を浮かせればいいだろう。練習を重ねると自然ともっと遠くに着氷するように
なるだろうと思う。
少し前の浅田選手なら、空中でうまく調整して転倒は回避しただろうけれど
現在は、肩の動きを指示(インストラクション)通りに動かすようにやっているみたいだ。
着実に指導が進んでいる事が伺える。
コーチの言う事を聞かずに、と云うか、注意されてもつい本能的にやってしまい、
言われたことが出来ないレベルの選手ではないのだからその点心配はないが、
ルッツに関しては、恐らく世界的に見ても指導方法が確立されていないのが現状。
ルッツとフリップが感覚で出来るようになるまで、少なくとも半年はかかるだろう。
まだ、感覚でやってはいけないのだ。
トリプル・アクセルは、従来のフォームをそのまま磨きをかけて完成度を
高めているようだ。
踏切を瞬発的に変えるだけだと、フォームを変える必要はないのか?
という疑問があるのだけど、見る限りにおいて、思ったより同じで良さそう。
ショートでのアクセルは、足首を捻挫しそうな妙な転倒の仕方だった。
今回のトリプル・アクセルは、ビデオで見ると、単純に踏み切りタイミングが
遅くなって、エッジではなくトウでジャンプしているように見えるが、
実際には、エッジでジャンプしていて、その原因は、もっと別の場所にある。
原因として考えられるのは、左足のエッジの深さ、左足の爪先の左への捻り加減、
右足の振り込みのタイミング、振り込み方向等々。
ジャンプ・タイミングが遅いというよりは、適正なタイミングで、エッジが
ターンによるグリップ力を得られなかったのだろう。
その結果、エッジが本来ジャンプする位置より長く滑走してしまっている。
これらは、恐らくは些細な問題で、個々のジャンプのバラツキを減らして行けば、
根本的な理想形は、原理的に外していないと思われるので、自然解消するだろう。
フォームを変える必要がもしあるとしたら、瞬発的なジャンプ程、
アプローチカーブの曲率は、緩く直線的になるので、フォームを浅くしないと
動作が遅れてしまうかもしれない。
また、瞬発的にフリーレッグを振り込むためには、滑走速度を上げておかないと
そのバランスが取れないような気もする。
伊藤みどり選手くらいの滑走速度でジャンプに入るとしたら、踏切時にエッジを
押さえ込む筋力ももっと必要だろう。
女子短距離の福島選手が宙吊りでの腹筋をやっていたがアクセルジャンプでは、
内股の筋肉の他にどの筋肉を鍛える必要があるのか・・・
小塚選手も研究しているようだが。

全日本フィギュアスケート選手権2010

男子も女子も、ショートは、氷の温度が低かったのか、滑りが悪いように思った。
ちょっとした事で、氷が削れていたので多分そうだろう。
フリーの演技で、浅田選手のルッツは直っていた。
1回目はやや、昔の癖が出ていたが、2回目は、奇麗だった。
エッジは、アウトサイドの引っかかりが見られたので、間違いなくアウトを保っている。
体の捻りも、カウンター・ジャンプ独特のいい感じの捻りが見られた。
ショートでのトリプル・アクセルの着氷は、滑走速度不足が原因だろうか。
小塚選手のフリーは、カート・ブラウニングの「Rag-Gidon-Time 」に匹敵するくらい
深いエッジでクリーンな滑走をしていた。もうこの領域に入って来たか・・・
高橋選手のショートは、何か迷いがあったように見える。
無理にエッジを深くしようとしているように見えなくもない。
あと、フリーではだいぶ良くなっていたけれど、ショートでのレイ・バックスピンは、
不必要に体(多分、腰から下)がねじれているように思う。
しかも、あれだけトラベリングしたら、ツイズルでしょう。
深いエッジの滑走をしようと思ったら、股関節を十分曲げて、体の捻りを
十分に利かせて適切なカーブに入らなければならない。
エッジの深さは、加点要素であり、まずエッジにしっかりと重心が乗っている方が
基礎点を稼げると思うので、あえて重心を外してリスクを負う必要もないかも。
安定且つ正確なエッジワークで、キレのあるステップを踏むのも良い事だ。
それから、前の大会でやっていた、カウンター・ターンから入ったルッツ・ジャンプは、
理にかなったアプローチ方法で、佐野解説員が言っていたように評価に値するものだけど
高橋選手には珍しく、ちよっとエッジが甘くなっていた。

NHK番組 「フィギュアの新星 羽生結弦」

この番組は、なかなか参考になりました。
軸は取れても、軸が首振りしたら、当然着氷に影響する。言われて再認識。
それから、優れたコーチでも、なかなか根本の根本まで遡って考えてくれるわけでもなく
選手が指摘された点を直そうと、あれこれ試行錯誤するのだということ。
ただし、経験豊富なコーチは、何結果として何を直したかフィードバックして
それを知識として蓄積している筈だ。
とはいえ、4回転に関して経験豊富なコーチは少ない。
さて、羽生選手の、4回転ジャンプの前の姿勢は、コーチは、前傾だと言っていたけれど、
前傾というよりは、猫背です。成功した場合でもまだ猫背です。
前傾でも股関節で曲げた前傾だと随分制御が楽になる。

四大陸フィギュアスケート選手権2011

ショートプログラム男子の感想。
中国のナン・ソン選手いいですね。出だしの部分と、演技内容を見ると、パーフェクトだったら
少なくとも4位に入ったと思います。滑走時に、遠心力を考慮した乗り位置がとても正確。
基礎がしっかりとしていると思うので、経験と精神面が備われば、日本の選手の強敵になるでしょう。
日本選手は、小塚選手不調で、高橋選手が好調、羽生選手は無難にまとめた感じ。
今回の高橋選手のショートプログラムのステップは、彼らしい良いステップになっていました。
高橋選手のレイバックスピンは、奇麗に回れてはいるけれど、乗り位置が爪先に
傾倒していてやはり不安定に感じます。女子の長洲選手辺りの安定感と比較すると明白です。
さて、高橋選手がオリンピックで金メダルを取るのに何が必要か・・・
プルシェンコ選手が見せたような、あの執念とか!?
NHKの番組「教えて高橋大輔選手」でも、「金メダルは、取れたらいいなあ」くらいにしか言っていない。
彼の性格なんだろうけど、何か遠慮している感じがする。
謙遜しているのか、自信がないのか分からない。
金スマの番組で熊川哲也氏と会っているが、熊川氏は回転数のことを言っているのではなくて、
高橋大輔を見てフィギュアスケート、大したこと無いなと言っているように感じた。
鋭い洞察力を持った熊川氏は、表向きどう振る舞っていても、自分を訪ねて来た者がいたら
まず、「こいつ何か持っているか?」みたいな事を考えるものだ。
あの場で、対等に話が出来ていたら、高橋選手は、人間的にも大したものなのだが。
パティシエの辻口博啓氏が、徹底的に人の真似をして技術を習得すれば、世界的なコンクールで
銅メダルまでなら取れると言っている。金メダルを取るには、別の何かが必要だということだ。
これは、オリンピック競技のフィギュアスケートにもそのまま当てはまるのではないか。
スポーツでは、得点さえ取れば金メダルが取れるように見えるが、オリンピックだけは特別で
何か別の要因が勝敗を導いているとも言われる。芸術性を重視するフィギュアスケートなら
なおさら、技術ではない「芸術の本質」ともいえるものを獲得しなければ・・・
これは、残念ながら誰にも教えられないものだ。本人が自分で気付いて獲得しなければならないもの。
努力しようにも、どう努力すれば良いか分からない辺りにその難しさがある。
過酷すぎるリハビリの後の空虚感から目標を見失っていたのかもしれないが、
ある意味つまらない事で迷っていただけかもしれない。

大会の結果は、PDFで詳細を確認する事が出来る。ReportsのJudges Scores (pdf) のところ。
ISU Four Continents Figure Skating Championships 2011

映画「COACH」 DVD

何か、最近の宮崎アニメにありがちな、作ろうとしたものと
出来上がった作品が違ったものになっている感じがした。
最初は、赤いバラだったのが青いバラになって、でも・・・。
ストーリーの骨子は、スケート界の人が作っている筈だし、
その中で監督は、自らのメッセージを作品に込めているのだろうが、
そのどちらも観客に伝わらない気がする。
映画を作る以上、頑張ったら努力は実る。みたいなメッセージを
伝えるために映画を作るとか、ドキュメンタリーだったら、
成功の影には、こんな努力があったのだ・・・という
お話にまとまっていれば、合格かなあ・・・と。
オリンピックを目指すきっかけも不自然で、納得出来ない。
それがどういう結果になって・・・、となるともう訳が分からない。
例えば、選手が練習辛い、苦しい・・・という本音を
ぶちまけているだけの映画があったとしたら、それは誰も
見てくれないだろうけど、何かそんな感じのところもある。
サブテーマとしては、結婚を取るか仕事を取るかみたいなものも
描かれていたけれど、これについても中途半端で、この映画は
どっちだと言いたいのかよく分からない。出来れば、両立して
ハッピーエンドになって欲しいのが人情だけど、
そういうお話にもなっていないと思う。
結局何なんだろう。
仮に、自分の教え方が生徒や父兄に受け入れられないコーチが居て、
コーチの選手時代の成績からすると信じてもらえなくて
だったらオリンピック出て認めさせよう・・・なんて映画だと
それは、お話としてご都合主義で成立しないと思う。
むしろ教訓映画として、何かと即席で応用分野をやりたがる人達が
基礎を欠いていて失敗するが、やっぱり基礎は大事だね。
というのをでっち上げる方が良かったのではないか。
この映画の主人公のコーチは、自分がやらなければならないことから何か逃げている。
人を教えるということに関して、案外重要なのが、困難でも、苦しくても
それを続けてやりたいと思うだけの魅力というか、楽しみ方というか
取り組み方というか、達成して得られる充実感というか、そういうもので、
まずそれを教えなければならないのに、それをやっていない。
だから、オリンピックという高すぎる目標があっても日々の練習が
続かないということになるのだ。
色々な顧客が居て、ビジネスだからという現実問題もあるけれど、
顧客の言いなりになることが、高い顧客満足度を与えるということではない。
顧客を叱りつけて、方法論を押し付けても、結果目標達成出来て
喜ばれると言うのがプロの仕事の筈なのだが・・・

まあ、氷忍者は、表舞台に立たないから忍者なのであり、
オリンピックを目指す人達とは違った価値観でスケートを
こよなく愛しているわけだが、そういう視点で見ると
オリンピック選手に憧れてスケートをやっている人の中には、
本当の意味でスケートを楽しめていないというか、
たまたまスケート競技を見て憧れただけで、実は別の競技でも
良かったんじゃないかなあ、という人も多いんだろうなあ・・・と思う。

昨年の秋に、どこかの小学校の生徒がスケートリンクに来ていて、
低学年の女の子だったけど、その子に「ひょうたん」をやって見せたところ、
1回だけやったのを見て「レモン」だと言い、
3回連続でやったら「団子」だと言った。
子供らしい、先入観のない見方に新鮮さを覚えるとともに、
氷の上に描いた図形に興味を持つ子供がいる事が、微笑ましく
この上なくうれしい事だと思えたのでした。
こういう感動を、観客に伝える映画を作って欲しかったなあ・・・。

もしフィギュアスケートのプロインストラクターがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

顧客とは・・・
どうやってイノベーションを起こすか。
ビジネスの世界では、マーケッティング含めて、こんなことが流行っているのです。

世界フィギュアスケート選手権2011

震災でスポーツ界自粛ムードもあるが、遊び半分でやっているのではないのだから、
そんな自粛する必要があるのだろうかと思う。
オリンピックなど、国の威信がかかっているわけで、日本はロシアを見習うべきだ。
織田選手は、ヒモが切れるし、高橋選手は、ネジが外れる。
衣装と違って、大会で新調するとジャンプがうまく跳べなくなったりするので、
靴は交換しないのが常識だけど、定期メンテナンスはすべきだろう。
ヒモの傷みは、見て分かる。
ネジについても、最初グラグラして、いきなり外れたりはしないから。
一度ネジが抜けた所は、割り箸などでいいから、接着剤をつけた木材を詰め込んで
埋めてやらないと、少し太いネジに替えただけでは、不十分な事がある。
接着剤は、水分で固まるアクリル変成シリコーン樹脂接着剤が良い。

浅田選手は、迷走中。迷走するだろうな・・・と見ていたけれどやっぱり。
何をどうしたらいいか分からない感じ。
まず、ルッツの矯正は、出来たと思った時点で安心して逆戻りしている。
出来たと思ってから、定着されるまでに3ヶ月は、サルのように
繰り返し練習しないと、今までの習慣に勝てない。
恐らく、怠っていると思う。
そういえば、肩を脱臼したときルッツの調子が良くなったとつぶやいていた
人が居たなあ・・・
ジャンプの矯正をするなら今季の大会は休むべきだと思っていたが、
そうも行かないのだね。
何か、練習時間を減らせと言われたみたいだけど、確かに技術面では、
短期集中した方が効率がいいのだが、スタミナ面で心配。
その分、ランニングなど別の練習が必要になるでしょう。
プログラムも、もう少し体力がかからないものにしたらどうだろう。
アクセルは、何となく入る時の肩の向きが以前と違うね。浅くなっている。
コーチから踏み切りを強く瞬発的にするように指導されているようだけど
もし元のフォームが、浅田選手の体力でベストチューンされたフォームだとしたら
そのバランスを変えて、果たしてうまく行くかどうか、コーチのお手並み拝見。
私の予想では、踏切に見合った振り込みの力(速度)がなかなか出せないと思う。
だから、アプローチの滑走速度をあまり上げられないとか。
今は、まだ調整中という事で来季に期待。
浅田選手は、無理をお願いしているコーチにどうすれば、報いる事が出来るか
といった辺りが演技に出てくれば、演技に力が湧いて来るのではないか。

この間、伊藤みどりさんがテレビに出ていたけれど、本当に引退したのだな、と思った。
今は、北九州で主婦ですか。体重が軽ければ、彼女ならダブルアクセルは、
50代になっても平気で跳べると思うけれど、今の体重では怪我をしそうですね。

大会の結果は、PDFで詳細を確認する事が出来る。ReportsのJudges Scores (pdf)のところ。
ISU World Figure Skating Championships 2011
村上選手も1回ルッツがエラー・エッジになっている。これは、テレビの解説が
間違ったのかと思ったくらいハッキリ分かった。

2011年 国際アダルト選手権

伊藤みどり選手復活!
これぞ、年齢を感じさせないダブルアクセル。高い!!!。



2011グランプリシリーズ アメリカ大会

小塚選手が、前振りで「日本の曲」を・・・と言っていたが、久石譲だったのか。
時々、テレビ放送で滑走の音を大きく出しているけれど、これは小塚選手のインタビューや
佐藤信夫コーチの著書にもあるように、良い滑走かどうかの判断材料なのだ。
日本のフィギュアスケートが世界に追いつくために着目した1つという事だ。
小塚選手の演技に注目してみよう。
ショートでは、エッジの深いスプレッド・イーグルがなかなか良かった。
ショートでも、フリーでもやっていたウォーレイ(walley)ジャンプ。
解説の佐野稔氏は、ウォーレンと言っていたような・・・
流石にこれを跳ぶだけあって、小塚選手のルッツ・ジャンプの踏み切りエッジは、完璧だ。
ということは、近くで練習している筈の女子も今シーズンは期待が持てるか。
小塚選手が、フィギュアスケートをやる決意をしたは、2世でもやって行けるかという不安を
ある選手を見て払拭出来たことによるらしい。
しかし、今の演技内容を見る限り、2世にしか出来ないレベルを目指しているように思う。
特に、今回のフリーで重視している音楽との同期というか融合というかそういう要素。
フィギュアスケートのフリー演技では、なかなか音楽との同期は難しい。
難しい上に、転倒した時、途中から戻れるようなリカバーも考慮していないと。
今回、フリーで成功していると思うのが「王蟲との交流」のパート。
♪ラン ランララ ラッランラン〜
これくらい音楽に合わせてステップを踏めるといいね。
観客も手拍子が似つかわしくないのでリアクション出来なかった人もあると思うが
共感していたと思う。
バレエの様な音楽に合わせた舞踏芸術に一歩近づいたと思う。
ステップに重きを置くとジャンプに悪影響が出やすい。流れというかテンポが違う上に
体力の消耗もばかにならない。
だから、ステップだけの専用パートを作って、そこで思い存分やるのがいいと思った。
今回の小塚選手のフリーでは、ルッツ・ジャンプの踏み切りを曲に合わせて
失敗しているように見えた。適切なジャンプタイミングより、踏み切りを早めている感じがした。
また、スピンの足替えを曲に合わせ様としていたが、遅れ気味だった感じ。
いやあ、ジャンプ・タイミングを曲に合わせるのは、かなり難しい。
それがルッツ・ジャンプだと神業だ。

2011グランプリシリーズ カナダ大会、中国杯

荒川さんの解説で、バタフライ・エントリーのフライング・スピンというのを耳にして
見てみると、ほとんどの選手(女子)がこれをやっている。
しかし、見た感じバラけたものとか、質には大きな差がある。
どれも力強くジャンプしているのだけど。
私が好きなのは、ロシア系のバタフライで、浮き上がる前の前屈状態が、
ピタッと一直線になっているもの。
バタフライとして、標準の形かどうかは分からないが、1つの理想形だ。
アメリカなど一部の選手では、ちょっと体重を減らした方がいい演技が出来るなあ、
と思える人が数人見られた。3Kgでいいから減せば世界が変わってくる。

2011 NHK杯(グランプリシリーズ)

鈴木選手は、脂が乗っているという感じ。
小塚選手は、ルッツの踏み切りタイミングを曲に合わせるのを諦めたか
今回はだいぶずれていた。それでいいと思う。
本当に完璧な演技が出来るのなら挑戦して欲しいけれど、どれだけ練習しても
ジャンプの成功が前提なので難しいだろう。
浅田選手で、今回印象に残ったのは、インタビューだった。
何か、スケーターとしての自我に芽生えた。という感じだ。
今までは、ノーミスの演技を目指しますとか、トリプルアクセル・2回跳びますとか、
などといいつつ、また結果で涙を流しても、ポワンとした感じだったのだが、
今回のインタビューでは、芯があった。
スケーターとして、大きく成長したと思う。
ルッツも気になる所だったが、今はそれよりもアクセルを大改造という感じだ。
よほどキムヨナに負けて悔しかったんだろう。
フリーで見せたダブルアクセルは、伊藤みどり選手を見るかのようだった。
流石は、佐藤コーチ。時間はかかっているけれど見事です。
恐らくは、男子に教えているやり方を教えればいいのだろうけど、
高く上がるための瞬発力とエッジワークまでは出来ているなあ。
後は、回転力だ。フォームは出来ている筈なので、より厳しくなった
タイミングに合わせるだけなのかもしれないが。

2011 NHK杯の結果

2011グランプリシリーズ ロシア杯

浅田選手の演技で印象に残ったのは、終盤、イーグルからツイズルまで、
かなり長い間片足で滑走していた事だ。
踏み替え無しで、自由に動ける事が、アイスダンスと対照的にフリー演技に
要求される要素だと思う。
ダブルアクセルは、NHK杯に比べると高さが無かった。
着氷に失敗したルッツに関して、気のせいかもしれないが、
ジャンプ直前にアウトサイドエッジで溜めの動作を入れているのか、
もしくは、カウンタージャンプ特有のエッジワークでエッジが瞬間的にグリップして、
スケーティングレッグ側に強い浮き上がりが生じたかのように見えた。
フリップの動作だと、この部分で引っかかりが見える筈がない。
フリップに比べて、コースは直線になっているし、フリップがルッツに引きづられなく
なっているのは確実な進歩だ。
浅田選手のルッツは、まだトウをつく位置がフリップと同じだ。
スケーティングレレッグを後ろに抜こうとすると、トウをついた足にぶつかるので、
その位置になってしまうのか。でも、ルッツの場合、滑走方向にスケーティングレッグを
抜くことをイメージしたらトウをついた足にぶつかるか、交差して逆側に抜くしか
ないくらいなのが正しい。
実際にぶつからないのは、もっと左側にカーブして抜くからだ。
スケーティングレッグ側は、最後まで小指に乗って、トウを突くまで膝は伸ばさず、
ガニ股で踵から抜くような感じになると思う。
そのエッジワークを制御するためにフリーレッグを使う。
カウンタージャンプのターングリップは、瞬間的に強烈にかかる。
フリップよりもかなり早いタイミングになる。
スケーティングレッグが、エラーエッジにチェンジするのを待って
トウをついたのでは遅いのだ。

2011 ロシア杯の結果

そういえば、羽生選手は、ジャンプで失敗して、「テヘペロ」してたね。

四大陸選手権2012年まで

山田コーチが初めて?育てた男子選手。宇野選手がオーストリアで開かれた
Youth Olympic Games - Innsbruck 2012で、銀メダルを取ったが、
このマスコットYOGGLのぬいぐるみが、ダイハツのCMの目玉が飛び出た時のノルモット店長の
ような感じでかわいくない。YOGGLは、アルペン・シャモアという動物がモデルだ。
 冬季国体2012で見た小塚選手の4回転トウ・ループは、今までと印象が違った。
もしかして、カート・ブラウニングから学んだか・・・
今では、タップ・ダンスのカート・ブラウニングになっているが、この人から4回転ジャンプを
学ばずしてなにを学ぶ・・・と思うのは、自分だけだろうか。
世界で初めて4回転トウ・ループを成功させたパイオニアなのだから。
4回転トウ・ループは、みんな左足スリー・ターンからサルコウのように入って、踏み替えてから
トウを突くということで、小塚選手もずっとこの方法だった。
しかし、国体で見たのは、アプローチ時点の回転を大きく取っていて今までと違っていた。
見た目は、カート・ブラウニングのフォームに近いのだけど、遠心力でエッジにもたれるように
クリーンで深いエッジに乗っているかと言うと、まだその域には達していない。
あのスピードで、あのカーブに正しく乗っているのは、天才的。
そういう演技というのは、条件が厳しいので、出来たとき、まるで空中を歩くかのような
特殊な境地に達する。見ている方もわくわくする。
1つでも踏み外すと奈落の底に落ちてしまうようなことをトントン拍子でやってしまう。
それが真にスケートを楽しむということだろう。
ルッツ・ジャンプでも4回転を跳ぶ選手が出てきているが、これはまた別の驚異だね。
 浅田選手は、新しいフォームでトリプル・アクセルを降りるようになってきたなあ・・・
何となくアレクセイ・ヤグディンのフォームに似てきた。
でも、まだ回転不足でしょう。
伊藤みどり選手の時代は、トリプル・アクセルは、滑走速度が速くなければ出来ないと言われていた。
それが、腕を一旦前に一杯に振り出してアプローチに入って、一度後ろに引いてから
また前に振り出すという新しいアクセルのフォームを最適化して、低速でもトリプル・アクセルを
実現する選手が現れたと言うことだ。
前の浅田選手のフォームは、このフォームで肩と胸をキャメル・スピンの様に扱ってアプローチ序盤の
回転を作り出して、フリー・レッグの振り込みの回転力を補っている。
それが、滑走速度とフリー・レッグの振り込みによる従来のアクセル・ジャンプになって来た。
 ヤグディンのフォームがなぜ世界一美しいと言われるか自分には理解出来ない面もあるが、
かなり完成度が高いフォームであることは間違いない。
個人的に、ヤグディンのトリプル・アクセルで不自然に感じる要素が、佐藤有香さんの
ダブル・アクセルとの共通点なのだが、原理的にその形にしなければならないものなのか・・・

世界フィギュアスケート選手権2012

シズニー選手のジャンプ失敗や、日本選手のアクセルの失敗、それからリンクの
ひび割れ具合を見ると、氷質かなあと思う。
神奈川スケートリンクで、村主選手と荒川選手が演技したことがあるが、このとき
村主選手は、問題なかったが、荒川選手は、ジャンプが決まらなかった。
神奈川スケートリンクと似た氷質だと納得出来る。
そのジャンプが難しい氷質とは、一言で言って普通の氷。
最近の整備が行き届いたリンクでは、整氷車で何度も水(湯)を塗ってパイ生地の様に
層になった氷が一般的で、これはエッジがサクッと入り、カーブでギュッと締まる。
この氷に慣れていると、普通の氷が難しくなる。
ジャンプの中で一番影響が出やすいのが、アクセルだ。
 ところで前回の競技で浅田選手は、ショートのときは、質の良いアクセルを跳んでいたのに
フリーでは、昔のアクセルに戻っていたような気がする。
ジャンプへの侵入速度を保ちながら、回転数を確保しないと質の良い
トリプル・アクセルには、ならないかもしれない。
 カナダのパトリク・チャン選手は、滑走もかなりレベルが高いと思う。
あと、ジャッジに対するアピールポイントも心得ている。
特に男子の演技でポイントになると思うのが、ジャンプの着氷時の姿勢だ。
この姿勢は、教科書通りとか、安定性をジャッジにアピールするのには、とても有効だ。
長野オリンピックで、金メダルを取ったイリア・クーリック選手もこの姿勢が美しかった。
回転不足かどうか紛らわしい着氷では、本来見せるべき演技を見てもらえない。

伊藤みどり選手のタブルアクセル

浅田選手に不足している要素がこの映像にあるかも

http://www.youtube.com/watch?v=7YmwEE62D5c (現在再生出来ません)

よくこれだけ集めたもんだ。
特にカウンター・ターンからのダブル・アクセルが美しい。何か基礎が違う。
適切なエッジ・ワークでアプローチ滑走に凄い遠心力を感じる。
ルッツ・ジャンプをどうすればいいかのヒントにもなる

NHK杯2012など

スケートアメリカでもそうだったけれど、羽生選手のショートプログラムの得点は異常。
本人も驚いている。
フィギュアスケート選手を育てるのに、選手はジャンプやスピンの練習ばかりやりたがる、
というのは昔からあって、地味な滑走やステップなどの基礎をやらない傾向がある。
しかも、最近の得点システムは、ハイリスク・ハイリターンなので、難度の高い
ジャンプに練習が集中するのは自然な事。そういう懸念から、基礎を重視した練習を
してきた羽生選手にその効果が出ているのだと実感させる必要があった、ということだろう。
ジャンプでは、プルシェンコ選手以上の才能があると思うが、彼のような選手をバランスが
取れた選手に育てなければならないことは、世界の関係者がみんな思う事だ。
これに関しては、近いうちにルール改正があるかも。
NHK杯での羽生選手のステップは、動きは速いけれど、エッジがまだ追いついていなくて
しっかりエッジに体重が乗っていないように見えた。決してクリーンなエッジではない。
この点では、高橋選手がはるかに上を行っている。
バタフライも流れていたし、スピン全般にトラベリング傾向がある。
しかし、飛び抜けたジャンプの出来と、体の柔らかさは、他の追従を許さないと思う。
 浅田選手も、自分の得点に驚いていたようだが、ジヤンプ不調のままこの困難をどう
切り抜けるのかと思っていたら、今まで見た事のないような構成のプログラムをやっている。
一人アイスダンスというか、シングルのアイスダンスというか・・・
曲とのシンクロや、ステップのつなぎなど、今までとは次元が違うと思う。
ジャンプを見ると悲しくなるのだけど、演技構成や加点要素でそこまでスコアが
出せたと言っていいだろう。
ジャンプの不調を解消するには、里帰りするしかないと思う。このまま放置したら
どんどん崩れて行くかもしれない。かつて安藤選手も里帰りしてジャンプの楽しさを
取り戻し復活したようだし。
ある選手のコーチが産休で休んでいて、その間同じリンクの別のコーチが指導していたが、
もとのコーチが戻るまでは、ジャンプもパットしなかったのが、戻ってきたとたんにメキメキと
調子を上げてきたという例もある。

40歳以上のスケーター

カートブラウニングもテレビで腰に負担がかかるようなことを言っていたが、
確かに40歳を超えたくらいからそれは感じる。
しかし、寝るとき仰向けで眠ったとき腰を痛めるような気がする。
airweave のようなマットを使っても違う。
股関節を少し曲げたまま仰向けで寝られればそれが一番。
伸ばすのは、起きてからストレッチすれば良い。

リンクの氷質

明治神宮外苑スケートリンク、新横浜スケートセンター、銀河アリーナは、
精製水を使っていると思われる。パイ生地のようなサクサクした感じの氷。
神奈川スケートリンクは、どうも水道水だ。
精製水の方が、ジャンプは、格段に跳びやすい。
整氷車はザンボニでなく、カナダのオリンピアを使うリンクが増えている。

TBSサンデーモーニング

伊藤みどりさん出演。無邪気に「喝」と叫んでいた。
同世代の選手として、五十嵐選手が出て来なかったけど、仕方ないか。
カートブラウニングが、アイスショーで「雨に唄えば」をやるのは、
伊藤みどり選手のNHK杯エキシビションに因んだものか。
傘を持ってのダブル・アクセル。

リンクの氷質(2)

神奈川スケートリンクも精製水を使い始めたようだが、気のせいか?
違うと感じた事
・エッジ・ジャンプのときのエッジのグリップが違う。
・ストップで削る氷の音が違う。
・荒れ方が、かき氷(夏はシャーベット)の様だったのがパウダースノーみたい。
・製氷の時、凍るのが3倍くらい速い。
・製氷のとき、深い傷のところが、なかなか凍らず窪んで残っていたのが
 完全に凍って逆に盛り上がる感じになる。
氷質の違いは、前からよく分かっていたが、それが何に起因するのか、
気がついたのは最近の事。赤外線放射温度計で温度を調べてもどのリンクも
ほとんど差がないし、季節による変化もない。製氷車も関係なさそう。
後残るは、水だけで冷凍剤でも入れるのかと考えたが逆だった。
いつだったか神宮のリンクで積まれた精製水のポリタンクを見たのが最初で、
Webで調べてみると関西のあるリンクも精製水を使っていると謳っていた。
横浜の水は、ミネラルが多いと思うが、何か溶けているとそれが凝固点降下を
起して、残った部分にさらに濃縮されるので溝の部分がなかなか凍らない
ということだろう。
水道水:ガラス質、非結晶
精製水:結晶質
不純物があると、過冷却状態から急速に固体になるのでガラス質になる、
ということだと思う。
何だか、チョコレートのテンパリングのような・・・。
リンクの氷は、お湯で一度表面を溶かさないとくっつかないと言われていたが、
結晶質の場合、お湯でなくても古い氷との結合性も良いかもしれない。
パイ生地のような、積層感は、その辺りに由来するのだろう。
長野オリンピックのときMウエーブで氷筍が使われていたが、あの氷も結晶質の氷だ。
あれは、他で作った結晶質の氷の柱を並べて作ったようだが
精製水を使えば、同じような質の氷が得られるのではないだろうか。
純度が適合するかよく分からないが、精製水は、逆浸透膜浄水器で作れるので
買うよりも浄水器で作った方が安上がりかも。(輸送費だけでも・・)
水道水の氷は、エッジ・ジャンプが難しくなるので正確な技術を身につけるには
この氷の方が良い気がするが、上達は、明らかに精製水の氷の方が早いと思う。

グランプリ・ファイナル2012(ソチ大会)など

浅田選手の演技、LBI→LFIのカウンターの流れるような滑りにゾクゾクっとした。
これが、アクセルジャンプに結びつかないか (アクセルのときはLBO→LFOだが)
イリュージョンは、ループ図形を描く事になるようだ。
ジャンプもだいぶ調子を戻しているように見えるが、ループジャンプの前に左のブレードの
踵側を氷に着いているなど、減点対象になりそうなミスもある。コンビネーションも
最初のジャンプの着氷時にほぼ停止した状態からのジャンプになったりで良くない。
これらを修正して、調子を整えて行くしかないだろう。
これからは、ルッツには手を付けないこと。アクセルも、あと2年では無理だと思う。
元のトリプルアクセルで勝負するのが有力。
ダブルアクセルも一時期は、高さがあったのだけど、元に戻っている。
そもそも、質の良いスタンダードなアクセルは、フリーレッグと腕を振り子のように
振り出して回転を得ているのだが、浅田選手は、フリーレッグはそれ程強く使わず、
キャメルスピン的な方法で回転を得ている訳で、原理的に違う。
アプローチ時の、スケーティング・レッグへの乗り方がそもそも違うと思う。
浅田選手は、体の中心線(ヘソ)をスケーティングレッグに乗せる感じで
アプローチに入っているが、スタンダードな方は、スケーティングレッグに
左肩だけ乗せて後は後ろに引いた感じだと思う。
佐藤コーチの初期の指導を見ていると、踏切時に左足に左肩を乗せて鋭くジャンプ
みたいなことを言っていたように見えるが、アプローチの最初からこの重心の
乗せ方で入らないとだめみたい。丁度振り返り型のアプローチをするとき
左足に踏み出す前にRBOに乗るけれど、ああいう感じで左足に乗る。
アプローチ初期、肩は腰に対して45度くらい捻ってチェックした状態で、
これを正面までほどくように回転させながら、膝と股関節を曲げながら
体を左に傾けてカーブに入る。これも重要な回転源となる。
ジャンプタイミングは、かなり早くなると思う。
質の良いアクセルを練習するなら、腕を大きく前に出して始めるフォームは
禁止して、腕を後ろに強く引いて入る方法にすること。
シングルで良いからカウンターから片足で入る練習をするとか。
羽生選手は、これでトリプルアクセルやるから凄まじい。
滑走速度を高さ方向に変換するための適切なターン状カーブ、体重の乗せ方、
踏切り時の強力なエッジの押さえ、タイミング・・・
筋力的に足りないような気もするし、無理しない方が無難かも。
韓国の国家代表選手のように、日の丸を背負えるか。

全日本選手権大会2012など

グランプリ・ファイナルで浅田選手のループ・ジャンプがおかしかったのは、
どうもルッツの練習の影響が出ているのではないかと思う。
最近のプログラムで、単独のループ・ジャンプは少ないのだけど、
2011年NHK杯では、きれいに跳んでいたと思う。
全日本でもSPでシングルになった。この原因について、
本人は、左肩を下げて後ろに引いたのが原因みたいな事を言っていた。
しかし、全体的にループ・ジャンプの姿勢というよりトウ・ジャンプの姿勢で
入っている感じがする。
やや右足に重心を移すのが遅くて、エッジに十分乗り切れていない感じだった。
一般的には、腰掛け姿勢で両腕をクリスマス・ツリーのように振って
行うのがループ・ジャンプだと思う。
それにしても、ルッツ・ジャンプの練習の影響がループ・ジャンプにも出るとしたら、
相当感覚的にジャンプをやっているなんだな。
感覚でなく、意識的にコントロールできるかもアスリートには要求される。
ピアノを両手で弾けるようになるのと同じような練習だ。
全日本でのダブルアクセルは、一見良くなったように感じたのだが、
やはり高さがない。去年の全日本では、フォームがヤグディンのアクセルに
とてもよく似ていて高さがあった。はっきり違うのは、踏切り時の腕の高さ。
それから、踏切り足がカーブに入りすぎている。ジャンプ・タイミングもまだ遅い。
浅田選手のトリプル・アクセルの特徴は、左肩を下げて軸の左に押し込んでいるような
回転軸の取り方で、伊藤みどり選手のフォームにも若干その傾向があるけれど、
これがイビツに見えてしまう。
当面2011年NHK杯のフォームにまで修正して、そこから出来る限り高速滑走から
十分に各関節を曲げて瞬発的にジャンプできるか。
筋力的にスタンダードなトリプル・アクセルが可能かは、判断できない。
伊藤みどり選手は、トリプル・アクセルに至るまでに、踏切り足をスタンドスピンの様に
曲げたダブルアクセルを相当練習している。
足を伸ばせばトリプル回れる、トルクがあるダブルアクセルの練習。

Googleの検索ページにZamboniが

いまでもここから見る事が出来ます。
 ルッツの悪い癖は、筋力が備わっていない幼少の頃に無理に練習する
というのが、結局悪いくせにつながっている様な気もする。
 テニスのクルム伊達選手の体幹トレーニングは、強そう。
フィギュアスケートで多回転ジャンプを行うのにも役立ちそうな気がする。
スポーツジムは、東京の「R-body project」といったか。

スピードスケートとアクセル・ジャンプ

なぜスピードスケート選手がアクセルジャンプを最初に演じたか。
何となく分かる様な気がしてきた。
しかし、清水選手のように重心をあまり足に乗せず、前に押し出す様に滑る選手ではなくて、
長島選手のようにアウトで氷を捉えてチェンジしてインで押すような
しっかりとエッジに乗るタイプの選手でないとアクセルジャンプは生み出せないだろう。

四大陸選手権大会2013

村上選手の乗り位置が、踵気味だったのが、前乗りに変わってきている。
アイスダンスでは、踵気味に滑ることが多いけれど、シングルでは、前でしょう。
この点は良くなっていると思う。
しかし、滑走が両足滑走に見える。両足滑走している場面も多いのだけど、
片足滑走でも両足滑走と同じに見える事が問題。
両足滑走の何が悪いかというと、膝の向きなのだ。
初心者が縦蹴りするように、つま先をVの時に開かないでパラレルに構える。
そうすると、自然と骨格上の理由で足に体重が乗らなくなる。
タラソワ・コーチ時代の浅田選手みたい。
 浅田選手のショートでのトリプルアクセルは、改善されたトリプルアクセルだ。
フォームのいびつさをほとんど感じない。
しかし、アプローチに入ったときの速度は遅くて、そのエネルギーは、
ほぼ全部回転に使われて、着氷時に停止状態になっている。
踏切りは、巻き込み気味に見えるけれど、あの速度で3回転半回るには、
必要なカーブだと思う。フリーレッグの振込みが弱いのだ。
踏切りポイントは、ベストだろうね。今までになく力強い踏切りだった。
フリーでは、アプローチ速度がほんの少し速かったけれどあまり変わらず、
フリーレッグの振込みだけが、1.3倍くらい強かったので、内側に入り込みすぎた。
フリーレッグの振込みの強さ(速さ)は、滑走速度に合わせなければならない。
滑走速度は、1.5倍〜2倍くらい欲しいし、フリーレッグの振込みもそれに合わせて
もっと速くしないと。
3回転回れるポイントは押さえたので、感覚的には、滑走速度が速くなっても
それ程変わらないと思う。
踏切り足で押さえる筋力が足りず不安定になったり、速くなった分タイミングが
シビアになる難しさがある。
滑走速度を上げて、それに合わせてフリーレッグを振り込めば、高さも得られ
着氷後、スーッと滑り抜ける直進速度も保たれるはず。
あと、フリーでのループジャンプは、何となく成功しているが、
きちんとエッジに乗ったジャンプに見えない。アプローチが巻き込みすぎて、
90度分回転不足を取られるかも。

世界選手権大会2013

男子では、フリーで羽生選手が怪我をしていたらしいが、それよりも
スタミナ切れを起していない事が凄い。息が荒かったのでギリギリだろうが、
相当トレーニングを積んだようだ。
アメリカのロス・マイナー選手は、スピードはあるが、かなり荒削りだ。
ジュベール選手のフリーは、トリプル・フリップがルール上無効になり0点に
なってしまったが、スコア表を見ても同じジャンプを3回跳んでいるように見えない。
トリプル・フリップ+ダブル・トウループがエラー・エッジでルッツと判定されて、
トリプル・フリップもエラー・エッジでルッツ判定になり、ルッツ3回目でノーカウント
ということか。
フリップ・ジャンプとして認定された上でのエラー・エッジなら、フリップとして
カウントされるべきだと思う。
もし、エッジを重視するなら、エラーエッジなどと言わないで、
フリップ・ジャンプとして跳んだが、エッジがアウトサイドなのでルッツと見なす
ということなら納得だ。その場合は、得点が上がってしまうが。
何ともややこしい。
女子は、村上選手が調子を上げている。ショートでのコンビネーション・ジャンプが
細いラインに乗ってかなりの速度でジャンプしているので良かった。
キムヨナは、韓国の国家代表の貫禄を見せつけてくれた。
ダブル・アクセルをあんなに浅いカーブでやってしまうんだね。
ショートでは、安藤選手みたいにフリップがエラーエッジになっていたけど。
浅田選手は、どうしたのだろう。ショートは、丁寧にというよりも、
何かに反抗してジャンプが成立するギリギリの速度に抑えていたみたい。
その結果、ループ・ジャンプも失敗。
佐藤コーチが厳しい態度で接し、奥さんがフォローしているようにも見えた。
フリップ・ジャンプは、滑走速度が遅いため、いつも通りトウをついたら
トウが強過ぎて、反動で膝が曲がってしまい、回転速度が途中で落ちたようだ。
フリーの方は、前半やる気なさそうにみえた。ビールマン・スピンの辺りから
観客席の応援と、音楽から調子を取り戻したようだ。
前半は、音楽とも合っていなくて遅れ気味。今まで丁寧にやっていた
手のひらで羽ばたく上品な仕草も取ってつけた様な感じだった。
オーバーターンしたトリプル・フリップも気後れから空中でのチェックが
遅れたのが原因。
メンタル面でいろいろ問題を抱えているようだ。
何時も集中力だけは、絶やして欲しくないものだが、どうも集中できてない。
トリプル・アクセルの封印は、ダブル・アクセルの改良、
そしてトリプル・アクセルの改良が目的だった筈。
封印が解かれた今、おそらく、古いフォームと新しいフォームが混ざって、
古いフォームに引き戻されている時期だろう。
佐藤コーチは、この辺りもプランを持っているに違いない。
見た感じ、浅田選手のトリプル・アクセルは、男子では、羽生選手に近いので
参考にするなら、彼のが良い。
やはり、フリーレッグのスウィングが足りないと思う。
今回の演技を見た感じでは、
腕を前から後ろに引く動作で、胸をほぼ完全に持ち上げているけれど
フリーレッグの振込に合わせて起すようにしないと、フリーレッグが
うまくスウィング出来ないと思う。
腕を前から後ろに引く動作も小さくしないと、カーブが長く巻き込み過ぎに
なり、滑走速度を上げられない原因になる。
後1年だけど、ここまで来たらトリプル・アクセルは、昔のものに戻せない様な気がする。

浅田選手の引退騒動

引退するなら、ここに勝手な事を書くのもこれが最後になるだろう。
腰痛報道に関しては、痛みをかばっている様子が見られないので
あまり信じていないけど、あの不自然なフォームのトリプルアクセルだと、
当然起きてもおかしくない。
練習のし過ぎというものは本来ないもので、何か不自然なフォームや
無理があるからおかしくなる。そうすると練習に打ち込めなくなる。
トリプルアクセル封印は、ステップのレベルアップの為にやっていた訳ではなくて
トリプルアクセルのフォームの修正のために2回転半まで回転を落として
修正していた筈なのだが、報道はそうは言わない。
ステップのレベルアップは、ジャンプの修正がことごとく上手く行かないとか、
修正途中で崩れた状態でもスコアを維持するための苦肉の策で・・・
佐藤コーチが、トリプルアクセルの何を直そうとしたのかだが、当初から
「体の上下動」を問題視していた。
これは、ベテランにしか分からないことだろう。自分も意味が分からなかった。
今回の国別対抗の試合でのトリプルアクセルでは、股関節を一定の角度に
保って跳んでいたように思うので、そう見ると、佐藤コーチの指導で
やっているように見える。
恐らく、浅田選手がトリプルアクセルを跳べたのは、上下動があったからなのだ。
正しいとされるアクセルジャンプでは、フリーレッグと腕の振り子運動が
完全に同じタイミングで行われる。
しかし、浅田選手は、腕を後ろに引くタイミングで既にフリーレッグを
振り込んでいる。これによってスケーティングレッグがヒュッと高速に
左に振り込まれてトリプルアクセルが跳べる回転力を得ているように思う。
この間、スケーティングレッグは、氷を押さず空振り状態で左に移動する。
エッジが抜けたように急に軌道が折れた不自然なカーブに入っている。
そして、フリーレッグの振り込みが完了した辺りで再びエッジがグリップして
踏み切るのだけど、途中氷を押していないものだから、どこでエッジが
止まるか分からず、安定してコントロールできないのだ。
あの不自然な状態から軸を作れるのも体の柔軟性のおかげだろうが、
やはり、腰から背骨にかけてかなり負担がかかっているように思う。
腕を後ろに引きながらのフリーレッグ振り込みは、そういう欠点を持つものの
高さを得る上でも、機能していて、スケーティングレッグを先行させる
役割も果たしているので、フォームを直すのにこの2点を新しいフォームで
獲得しなければならない。
今回の練習映像では、従来のフォームでトリプルアクセルは跳べていた。
試合で跳べていなかったのは、明らかに方法が違うからだ。
試合中、ダブルアクセルも従来フォームだったのだけど、トリプルアクセルを
矯正しているのだとしたら、ダブルも矯正しないと意味がない。
フォームを直すには、間違っているとされる原理でやっていることを
一度やめないといけない。自分が信じるものを一度捨てる訳で、それ以上に
コーチを信頼していないと出来ないことだ。
多分、フリーレッグの振り込みと腕の前への振り込みタイミングが一致した
きれいな振り子運動と、佐藤コーチの「体の上下動しないこと」は、
同じ事を指しているのだと思う。
しかし、「上下運動をやめなさい」だけでは、何も解決しない。
少なくとも、エッジに正しく乗ったジャンプでない事は明白なので、
前重心を維持しながらエッジに乗る事を心がける事だろう。
あと、左足を一歩踏み出してアプローチに入る時、今の速度ならば、
もう少し右側に方向を変えて、その分体を深く左に傾けるようにしないと
正しい軌道に入れないのではないかと思う。
とはいえ、あと1年だとジャンプのフォームに手を付けるのは難しい。
だから、従来フォームでどうやったら安定してジャンプできるのか、
良いときと悪いときを注意深く比較しながら基準を定めるという方が
手堅いかもしれない。
 それにしても、マイペースというか何というか。
自分の練習を「充実している」などと言っているのはおかしい。
ルッツの矯正などに失敗して、崖っぷちの筈。
キムヨナにその歴然とした差を見せてもらって初めて自覚するのだから、
今回のライバルからの「激励」は、大きかったと思う。
「充実している」→「何のために練習してきたか分からない」
一度、完全なる敗北を認めて、あと1年で何が出来るか、しっかりと取り組む事だ。
国家代表=スケートをやめたいくらい辛い。
これがないと、ライバルと同じ土俵(銀盤)に立てない。
でも、スケートが好きでしょう。
困った事に浅田選手の自覚が足りないのは、弱点だけでなく長所に関しても
言える事で、無頓着というか・・・
あのステップのクオリティーの高さは、トリプルアクセルだけでなく、
他の選手にまねできるものではない。
幸いにも、オリンピックは、スポーツの祭典だ。演技に華がなければならない。
ただ、メダル欲しさに勝とうとするだけの選手は、怪我で大会に出られなくなったりする。
自分の演技に誇りを持って、最大のパフォーマンスを披露する事だ。
亡き母親に、金メダルをプレゼントするという気持ちはないのかな。
ファンを含め、多く人に支えられた、国家代表であることを忘れてはならない。
 それにしても、浅田選手は、ここ1ヶ月で顔太りしている。
あごの下と首筋に脂肪がたくさんついている。
しばらくリンクを離れたのか、練習量を減らしたという事か。
関係ないけど、浅田選手は、CMなどで驚いた様な表情を
することがあるが、それがパトリック・チャン選手とよく似ている。

ゴールドシール

靴の調製を行って、最適だと思うように調整してから、3年ほど経って
やっと使いこなして来た感じがする。
このブレードは、直進性が良すぎて、カーブでなかなか適切なエッジに乗れない。
そんな中、ジャンプで重心の引き込み要素を重視して練習していたら、
滑走の方が良くなった。一蹴りして片足滑走に移る場合でも、
少し倒したエッジから、フラットエッジに近い状態に移行するが、
このとき、腰重心を足に引き寄せて乗り切る必要がある。
最初から、足を真下に置いていたのでは、踏み替え動作があるので足りず
強く押せないため、少しスケーティングレッグを先行させる必要がある。
ここにエッジワークが存在する訳だ。
寝かせたエッジを立てながら足に重心を引き寄せる。
逆に、エッジを押しながら体を倒し、フラットから深いエッジに移行する。
ロッカーの緩いゴールドシールでは、僅かな角度でそれが要求され
強い押し、引きが要求される。

村上選手のダブルアクセル

もし、1年前に、村上選手が練習の時にまぐれでもトリブルアクセルを成功させた
というように事件が起きていたら、浅田選手は、どうしただろう。
村上選手は、浅田選手より筋力があると思う。そんなに差はないと思うが、
瞬発性を重視する選手だと思うので、その分の差はあるだろう。
ダブルアクセルを見ると、入る時に一歩大きく踏み出しているが、
あれが完全な空振りになっているのが残念だ。
一歩踏み出したのがかなり無駄になった状態でジャンプに入っている。
回転を生み出しているのは、進行方向直線から左前に振り込まれるところで
浅田選手のトリプルアクセルは、ここで生み出されているのだけど
村上選手は、ここでかなり損失している。だからダブルにしかならない。
失敗してシングルになる事も多い。
佐藤コーチが教えているアクセルのフォームは、実は浅田選手より
村上選手に向いていると思う。
前に大きく踏み出さないアクセルなら、入る時は直線的で良いのだけど、
一歩踏み出す場合は、カーブに乗っていないと踏み出した足を
先行させたまま手前に踏ん張った状態でジャンプに入れない。
踏み出す方向と位置は、イナバウア的にかなり右にしないとだめで
遠心力が最大になるようにする。
踏み出した足が着氷した時点で、かなり深いエッジに乗っていて
右足が左後方にある状態が理想。
腰は、ブレードの向いた方向より、足首の回転で時計回り45度くらい
回した方向を向けておき、踏切り完了時にブレードと同じ方向を向くように
腰を過捻りながら振り込むのだ。
フリーレッグの振り出しの前半を生かさないと、回転力は激減。
フリーレッグの位置は、あまり左にしすぎるとうまくスウィングできないし
スウィングそのものは、ほぼ直線上で行われるので下手をすると
左に置く事が邪魔になるのだが、左に置く事で、深いエッジに入り
体を傾けやすくして、回転力に寄与出来ると思う。
一歩踏み出して、踏み切り足が着氷して、間を置いてカーブに入って
いるけれど、その間に一歩踏み出したことを全部台無しにして
一呼吸置いた時点で、やっとカーブに入れてフリーレッグを
振り込める状態になるのだが、このときは、既に重心が追いついていて
踏切足がかなり後方に残された形でのタイミングを外したジャンプに
なっているのだ。
どういう形を理想型にして、そうなっているのか全く分からないので
どうすれば理想型に近づくのかは分からない。
ただ、ヒントとしては、早目にカーブに乗る事で、踏切足を伸ばして
氷を押すタイミングを早くする事が出来る。
今のタイミングは、振り込みが1/3終了したくらいで、伸ばし始めている
ようだけど、これは昔の浅田選手のアクセルのタイミング。
踏切足は、フリーレッグがほんの少し追い越したタイミングで、
押し切っているくらいが理想的だと思う。
踏切り足が氷を押すピークのタイミングにこそ鍵があり、これにフリーレッグの
スウィングが最適なタイミングで入ると何かが起きる。

NHK杯2013まで

浅田選手は、まだトリプルアクセルの調整中らしい。だいぶ佐藤コーチの形に
なってきたのではないかと思う。
試合では、ずっと左足トウをついた両足着氷になっているが、
NHK杯の直前の練習中には、成功しているので問題はないだろう。
コーチに対して、こうやると上手く行ったみたいな話をしているようにも見える。
その良好な関係が最も大切だ。
ということで、ここからはオリンピックを楽しみに、何も言わず傍観する事にする。

ソチ・オリンピック代表

男子フリーで、小塚選手が選ばれなかったのは残念。
しかし、フィギュアスケートを本格的にやると決めた動機が、名コーチの娘が
上位選手になったのを見て・・・というの辺りがどうなのか・・・
男らしくない。自分は自分でしょう。
昔は、コーチの子供という恵まれた環境にあれば、能力が平凡でも
世界レベルの選手になれたのかもしれないが、今は違うかもしれない。
負けず嫌いと言う割に悔しそうではない。というかズレている。
それはインタビューで何を言うかで大体分かる。
インタビューで聞きたいのは、
・今大会では、〜を決めるのが重要なポイントで、そこを重点的に
 練習してきたのだけど、〜の調整が間に合わずこういう結果になりました。
 今度は、今最大の弱点である〜をレベルアップして行きたい。
・n拍子の曲は、ワルツやマーチと違って、リズムが難しい反面抑揚をつけやすい。
 今回採用したターンの構成を考えると、この拍子しかないだろう。
 今後は、シンコペーションなどフェイントがかったリズムも取り入れて行きたい。
・今回のプログラムは、小刻みなステップより深いエッジワークを重視した
 ゆたりした感じのプログラムにしました。それがジャンプにも良い影響が出て
 安定したジャンプが出来たと思います。まだまだ4回転苦手なんですけれど
 新しいコーチと今の練習方法を得て着実に進歩している手応えはあります。
というような感じことなのだが。
果たして、世界初4回転ジャンパーから、技が盗めたのか。
楽しいと感じたのか、恐ろしいと感じたのか受け取り方でも違う。
スケートは本当に好きでなければ、時間がかかるものだ。
褒められるから好きとか、人前で演技が出来る事が好きとか、
家族がみんな好きだから自分も好きとか、そういうのは本当に好きとは言わない。
一時期、ジャンプの軸が非常に細く鋭かった時期があるが、あれがずっとKEEP
出来ていたらオリンピック代表になっただろう。
点数だけでなく、技術的な幅も必要だ。余裕を得るために何をするか
楽しむために自由自在なコントロールをどうやって獲得するか。
恵まれた立場に居るだけに勿体ない。
一方、羽生選手は、天才肌にしては珍しく、インストラクターとしても
一流になるタイプではないかと思う。

フルブレードというエラー

ネットを散策していると「フルブレード」という言葉に出会った。
調べてみると、トウ・ジャンプにおいてトウ・ピックを正しく使わず、
エッジを垂直に当てて、エッジを使ってジャンプすることらしい。
これがエラー扱いされているとは知らなかった。

演技要素の基礎点

ジャンプ
種類 略号 1回転 2回転 3回転 4回転
トウループ #T 0.40 (<0.30) 1.30 (<0.90) 4.10 (<2.90) 10.30 (<7.20)
サルコウ #S 0.40 (<0.30) 1.30 (<0.90) 4.20 (<2.90) 10.50 (<7.40)
ループ #Lo 0.50 (<0.40) 1.80 (<1.30) 5.10 (<3.60) 12.00 (<8.40)
フリップ #F 0.50 (<0.40) 1.80 (<1.30) 5.30 (<3.70) 12.30 (<8.60)
ルッツ #Lz 0.60 (<0.40) 2.10 (<1.50) 6.00 (<4.20) 13.60 (<9.50)
アクセル #A 1.10 (<0.80) 3.30 (<2.30) 8.50 (<6.00) 15.00 (<10.50)
※略号の#には、回転数が入ります。
※(<)は、回転不足の場合。
※コンビネーションジャンプは、足し算です。
※後半のジャンプは、1.1倍になります。


スピンとシーケンス
種類 略号 レベルB レベル1 レベル2 レベル3 レベル4
アップライトスピン
(スタンドスピン)
(クロスフットスピン)
(バックスクラッチスピン)
USp# 1.0 1.2 1.5 1.9 2.4
レイバックスピン LSp# 1.2 1.5 1.9 2.4 2.7
キャメルスピン CSp# 1.1 1.4 1.8 2.3 2.6
シットスピン SSp# 1.1 1.3 1.6 2.1 2.5
フライングアップライトスピン FUSp# 1.5 1.7 2.0 2.4 2.9
フライングレイバックスピン FLSp# 1.7 2.0 2.4 2.9 3.2
フライングキャメルスピン FCSp# 1.6 1.9 2.3 2.8 3.2
フライングシットスピン FSSp# 1.7 2.0 2.3 2.6 3.0
足替えスタンドスピン (F)CUSp# 1.5 1.7 2.0 2.4 2.9
足替えレイバックスピン (F)CLSp# 1.7 2.0 2.4 2.9 3.2
足替えキャメルスピン (F)CCSp# 1.7 2.0 2.3 2.8 3.2
足替えシットスピン (F)CSSp# 1.6 1.9 2.3 2.6 3.0
コンビネーションスピン (F)CoSp# 1.5 1.7 2.0 2.5 3.0
足替えコンビネーションスピン (F)CCoSp# 1.7 2.0 2.5 3.0 3.5
ステップシーケンス StSq# 1.5 1.8 2.6 3.3 3.9
振り付けシーケンス ChSq 2.0
※略号の#には、レベルが入ります。

http://www.isu.org/en/single-and-pair-skating-and-ice-dance/isu-communications
 の Communication No. 1724 より

四大陸選手権大会2014

何か、オリンピック選考が過ぎてから、無良選手が調子上げている。
得点はそれほど高くないけれど、素晴らしい演技だと思った。
小塚選手は、ショートもフリーも、4回転トウループが、回転不足になり3回転扱いで、
更にGrade of Execution(GOE)で、約2点減点という結果。
10.3 の筈が、4.1 - 約2 で、約2.1。これは2回転ルッツと同じくらいの点だ。
最初に小塚選手が出てきたとき、4回転を教えられる人が居るのだろうかと思っていたのだけど、
予想外に、幾つかの大会で、回転不足取られない4回転トウループを成功させているので
やるなあ、と思っていたのだが、調子が上がらないようだ。
ショートプログラムは、足の上に体重を乗せようとした滑走だったと思う。重心が足の真上
直径20cmの円から出ない様な感じの滑り。
その結果、地味なのだけど、スピンだけは、オリンピック代表レベルという印象を受けた。
ちょっと軸を絞っているのとは、アプローチが違うかな。
フリーは、一転してエッジを深く滑るスタイルに変えている。
ジャンプは、エッジが深くないと高く跳べないし、深いエッジで軸を収束させるのが
テクニックというものでしょう。体を傾けながらエッジを押すという基本とか。
クロスフットスピンは、非常に良いと思うので、これと同じくらいの高速バックスクラッチスピンを得て
ジャンプにつなげて行くのも良いかも。
4回転時代に入り、トウジャンプも両足同時踏切りが定説になってきた。
昔は、トウをついてから遅れてスケーティングレッグを踏み切るのが一般的だった筈。
また、スケーティングレッグ側に回転軸を保持して、踏切時のスケーティングレッグ側での
エッジワークでも回転力を作るのが筋だと思う。
 さて、浅田選手だが、オリンピックまでいい調子で進歩しているように見えたし、
あと数ヶ月では、下手な事をしない方がいいと思ったので、何も書かないつもりでいたが、
全日本の冷えきった雰囲気が気になるのと、ちょっとトリプルアクセルの安定性がないのが・・・。
どう思ってきたかは、オリンピック後まで内緒だが、今トリプルアクセルに関して
改善できる事は何か、考えてみた。
今のフォームの課題は、着氷と反対側の足をついてしまうことだ。
これも、改善してきているが、恐らく目標としている形が良くないと思う。
踏切足に、重心が残って回転軸が右足に完全に移っていないのだ。
これを直せば成功率は上がると思う。
羽生選手のカウンター・ターンからのトリプルアクセルを見ると、アプローチが
直線ではないけれど、かなり直線的で理想的だと思う。
このとき氷と接する踏切り位置は、重心よりかなり左にある。
アクセルで、アプローチに入る時は、スケーティングレッグにしっかりと左肩を
被せた形で入ると思うが、踏切り時は、どうも肩も腰も乗っていないと思う。
そういう意味で、今の浅田選手は、踏切足に乗りすぎているのではないかと思うのだ。
スリーターンをするとき、足の前側がターンの極となり、ここが氷と接するのだが、
重心は、踵側にあって、空中で振り込まれるようにして直線的に通過すると
反動が無いきれいなスリーターンとなる。
トリプルアクセルの場合、このスリーターンのカーブが、直線に近いアプローチから、
30cmくらい左に極を持つ大きなターンカーブだと考える。
このカーブに合わせて、腰をクリッと回してフリーレッグで半ば押し込むような感じで
スケーティングレッグを滑り込ませる。
そうすると、フリーレッグのスウィングが直線的な感じで行え、ジャンプの高さは、
今の1.2倍以上になるだろう。
ジャンプする方向は、今までが45度くらい左に折れているとしたら、30度くらいに
なるだろうか。
羽生選手の演技も、ビデオで見ると信じられないくらい踏切り位置と重心が
離れているのだけど、ターンのエッジワークは、極の方向にクサビを打ち込むように
働くので、極の方に押す力で、十分に重心を支えられるのだ。
この方向に押しながら腰を回り込ませれば、右足に重心が移る筈。
この方法への変更は、意外に簡単かもしれない。感覚的に違和感はない筈だ。
また、筋力の問題ではない様にも思う。むしろ、腕をうまく使わないといけない。
しかし・・・・・、常識的に考えて、今方法を変えるべきではないと思うのだが。
 むしろ、これからは体調管理とコンディション調整が重要。
ソチへ向かう前に、ちゃんと見守ってもらえるように墓参りでもしておくとか
そういうことの方が大切かも。
責任を全部背負ってしまうと、自分の殻に閉じこもってしまうので、開き直って
自分以外のものに同調するように心がけるべきだろう。
音楽、コーチ、氷、観客、すべてが味方してくれる様な演技を期待する。
タラソワ・コーチにとっても、オリンピックで良い成績を残す事は、
教え子なのだから、悪くは思わないと思うよ。

テレビ番組でのスコア表示について

四大陸選手権大会2014では、テクニカルスコアが暫定1位の選手と比較して
表示されていたが、これはこれで分かりやすいと思う。
細かいルールを知らない人に、その選手がどれくらいの成績を出したのかを示す意味では、
プログラムで予定通りこなした時のGOEを除いた基礎点と、結果のGOEを含めた得点を
比較表示すると分かりやすいと思う。

ソチオリンピック団体戦

スルツカヤさんが選手村の副村長をやっているみたいだね。
日本選手団を暖かく迎えてもらい感謝。
 フィギュアスケート団体戦に関しては、何か、今メダルを取りにくくなってる
ロシアが開催国の面子を保つために設けられた競技のように感じる。
開会式前だし、ロシアだけ盛り上がって、マイナー大会みたいな変な雰囲気。
ペアとアイスダンスが共に薄い日本は、メダルには届かない筈なのです。
だから、本戦に向けた練習の場として活用するのが正しいかも。
 浅田選手のトリプルアクセルは、現地の公式練習では、見事に跳んでいた。
団体戦では、やはりかなり固くなっていたと思う。
その割にスピードが出ていたので、単にタイミング遅れだと思った。
これは、違和感が無いタイミングだけの普通の失敗だと思う。
直前の確認では、今までよりフリーレッグを後ろに高く構えるようになっている。
速いスピードに合わせるため当然の対応だ。
ただし、体の傾きとエッジも深くしないと対応できない筈。
普通の選手だと、滑走速度は、不安定さや踏切時の恐怖心として認識する筈なのだけど
浅田選手は、安定しすぎてこれがないのか、速度に関しては、かなり鈍感だと感じる。
速度感覚を身につければ、ジャンプの成功率は必ず上がると思う。
伊藤みどり選手などは、自分が出せる滑走速度を出し切ってジャンプしていた筈だから
調子が悪くなると、無意識に速度が落ちてタイミングが合わなくなっていたと思う。
浅田選手の場合は、ちょっと違うので加減が難しいだろう。
 後は精神的な問題。
剣術だと、何かにとらわれると隙が出来て負ける。最高の集中力を発揮すると
すべてが同時に見えて、周囲の状況に瞬時に即応できるようになる。
これが出来ないのであれば、意識には、数を数えるとか、つまらない事をさせて
気にしないのが一番かもしれない。

ソチオリンピック

羽生選手、金メダルおめでとうございます。
ライバルのパトリック・チャン選手は、肩に筋肉つき過ぎで、重心が不安定に
なっていたと思います。また、男性的逆三角形の体型は、速く回れないのです。
 ところで、私は、羽生選手の4回転サルコウを成功と見ていいのか、疑問です。
いや、現行ルールでは、減点になっている訳だし全く問題ないのだろうけれど、
ジャンプ成功の定義がとても曖昧だと思うのです。
ジャンプの失敗には、
・転倒
・両足着氷
・手をついた
などがあるのだけど、転んだら失敗だと見なすのが普通ではないか。
また、GOEの評価幅が転倒より大きいのも不自然。
自分の感覚では、
・転倒(腰を氷に着いた)は、失敗としてジャンプ点0または、基礎点を1/2にする。
・両足着氷は、体重が乗っているかがポイントになりそうだが、判定も曖昧になるので
 つま先が氷に触れたとしてもエラーとし、2点くらいの減点。
・手をついたときは、これも2点くらいの減点。
厳しいかもしれないけれど、それくらいがいいと思います。
回転不足に関しては、現行ルールで納得です。
 後は、女子シングル。
リプニツカヤ選手は、スピンが凄いなあ。でも、ダブルアクセルは、フリーレッグの
スウィングをほとんどしていないアクセルらしくないジャンプになっていた。
日本選手は団体戦の後、クロアチアで調整していたのですね。
負けて一番悔しいのは、本人なので、この勝負好きにしていいでしょう。
どうやったら、自分が乗って滑れるか、自分も楽しめるかを大切にして欲しい。

ソチオリンピック(2)

キム・ヨナ選手は、多分拍子抜けだっただろう。
ライバルとして、メダル争いがしたかったのだと思う。
トリプルアクセルが跳べる天才と、身体能力が高く英才教育を受けた秀才との
戦いは、秀才の勝ちといったところか。
浅田選手は、身体能力的には、伸びしろがなく、ほぼ完成された状態だったので
自分を再構築するしか、得点を上げる方法はなかったのだ。
浅田選手のショートの状況は、かなり特殊だと思う。
何より、リスクが高い挑戦をした訳で、その挑戦に関して結果が出せたかというと
それに関しては失敗というか、届かなかったということだ。
私の見解としては、シーズン初戦を見て、キムヨナ選手に勝つのは無理だと思った。
その時点で技術が完成していて、後は無意識にできるように定着練習するだけ
ということなら問題はなかったが、まるで間に合わない感じだった。
クロアチアから戻って調子がいいと言っていた練習を見ると、トリプルアクセルが
昔のフォームに戻っていたので、これはまずいなあ・・・とも。
無意識でやって、昔のやり方が出て来なくなるのが完成形。
それ以外では、メダル争いは勝てない。
 ショートプログラムの滑走順も、最悪のくじ運だったかもしれない。
でも、滑走順に左右されるようでは本物ではない。
浅田選手をショートで追いつめていたのは、メダルへの重圧が一つと、
キムヨナ選手などが見せる抜群の安定感が自分にないこと。
ショートの前のインタビューで、「今出場している選手の中で尊敬する選手は?」
という質問があり、浅田選手は、プルシェンコ選手と答えたのだが、
恐らくその前に、他の選手と自分を比べたことでしょう。
この質問自体不自然。
「自分の不出来を自覚して出来の良い選手を尊敬しなさい。」
みたいな意図があったのかもしれない。
この質問が決定的な引き金かな?
薄々負けるのではないかと感じつつも、無理矢理気持ちを奮い立たせて、
そのことに自分が気付いてしまわないようにごまかしてきたのが、
ショートを滑る前に負けを認めてしまったとも取れる。
成果が出なかった努力というものは、それは救い様が無いものだ。
しかも既に結果は分かっている。
それを認めた事が彼女の成長と言えるだろう。
常識的に見ると、ショートで崩れたのを立て直し、フリーで見事な演技をしたのは、
凄い精神力だと思うかもしれないが、多分それは違う。
メダル争いから離脱する結果となったことで、周囲の過度な期待が消えた。
それによって、自分が目指した演技をフリーでやれたのだ。
それにしても、フリーの演技は凄かった。
メダルが取れないと分かった演技にあそこまで真剣に取り組みフリーとしての結果を出す。
ロシアのプーチン大統領や元首相の森氏などから見ると、ちょっと信じられないでしょう。
それが、オリンピックの別の側面でもあるという事。
その点でも、キムヨナ選手にも真似できないことをしている。
同じ舞台に立ちながらも、人それぞれ置かれた境遇が違うということだ。
インタビューを仕掛けた人には、倍返ししたと思う。
浅田選手のフリーの演技は、メダルとは別の尊敬に値する。
 ロシアに関しては、トゥクタミシェワ選手で勝負するのかと思ったら、
この選手は第一印象からどうも伸びそうもなかった。その後に出てきた2人が、
町田選手並みに躍進し、一人が金メダルまで取ってしまった。
ソトニコワ選手は、地味だけどスケーティングは、浅田選手より上手い。
仮にキムヨナ選手に勝っても金メダル取れなかった可能性が高い。
10代若手の勢いは凄いし、年々レベルが上がってくる事は当然。
 団体戦と個人戦にこれだけ空白を開けるのは、策略だと思うが
開催国権限で許される範囲だろう。ロシアと近隣国の選手にだけ有利だ。
スピードスケートでは、リンク整備で整氷作業をしているのがオランダ人で
オランダの選手が表彰台独占した一方で、韓国の選手が毎日変わる氷のコンディションに
翻弄されたという記事がインターネット上に流れている。
日本も長野オリンピックでは、氷筍リンクを目指すなどしていたが、これは基本的に
どの選手に対しても理想の氷だということになっている。
ただ、これが日本に特に有利に働いていたとしたら、お互い様という事になる。
もしかしたら、体重が軽い選手により有利に働くかもしれないので。
不完全なものは、大抵自滅してしまうのが、オリンピック。
見えない所に色々な罠が仕掛けられてたり、注目度などから想定外の障害も出て来る。
自分の心の闇に住む魔物だけではないのだ。
だから、少なくとも自信が壊れないレベルに仕上げなければならない。
色々な悪条件があっても、勝つ選手は勝っているのだから。
実は、私は浅田選手のショートの演技を、高く評価している。
本人は、体が動かなかったと言っているけれど、あの精神状態で
崩れず体を動かしていたのは、彼女が練習で積み重ねた無意識なのだ。
だから、意識で調整が必要な不完全なジャンプでは失敗した。
演技が完成している場合、力を出し切るには、意識に頼らない演技をする事が必要なのだ。
ジャンプ以外の点を見るとショパンの曲をとても情感豊かに演じているし
動きも良かったと思う。スピンに入る時のポジションも、回転姿勢に
入る時の速さと言うか切れが良かった。
ショパンのピアノ曲は、子犬が飛び跳ねたり、雨粒が飛び散ったりという
小さいけれどテンションが高い動きを表現している。
 ともかく、オリンピックの重圧は、ただ事ではない。
今回のオリンピック、母親が生きていたら心配で気が気ではなかった筈だ。

浅田選手の挑戦、振り返り

ソチオリンピックのフリーのスコアに関して、トリプルアクセルは、
GOE=0.43で、フォーム修正前の、2005年と同じくらいの評価だった。
ルッツはエラーエッジだったが、これはGOEでの減点-0.6だけのようだ。
GOE加点は、出来が良ければ1.5点前後つく(max3点)のだが、
エラーがあるとこれは得られない。
フリーの点数だけ比べてもキムヨナ選手には負けているし、
ショートの点数も、失敗しなかった場合10〜15点プラスされるだけで
全日本での73点がやや甘いと考えると、70点台に届かなかったのではないかと思う。
 4年でジャンプに手を入れるのは、やはり無謀だったようだ。
今回のソチオリンピックは、目指したレベルに到達するのに間に合わなかったというより、
一度崩したジャンプを元のレベルに戻すのに苦労していると言える。
選手にもよるので、挑戦する前は全く分からなかったが、
浅田選手も一般的に言われる直せないタイプの選手だった。
私の意見では、アクセルに手を付けようとしたのは、佐藤コーチも
無茶をしたと思う。浅田選手がアクセルに拘るので
それしかなかったのかもしれないが、コーチが持つスタイルに
完全に染める事が出来なければ、やはり無謀と言える。
また、上下動は、決して悪くないと思うのだがどうだろう。
一般的に、アクセルジャンプを練習する時は、幅跳びになりがちで、
高く跳べないため、サッカーでヘディングするように下から突き上げるような
ジャンプをしましょうと言われている。
浅田選手の場合は、逆のことを言われているのだ。
浅田選手は、山田コーチの指導もあって、股関節の屈伸をしても
軸がぶれない特殊な選手に育っているので、本来的は、その屈伸を
生かした演技を武器にすべきだと思う。
最近、私は女子のアクセルジャンプに関して、骨盤の形と股関節の
可動範囲が影響するのではないかと思い始めているが、
単にリスクに対して挑戦しないだけとも取れるので分からない。
女子に関して、運動神経だけの問題で跳べないというのなら、
もっと他の選手が跳べてもいいと思う。
もし骨格などの影響が大きいとしたらと、男子の方法論を女子に持ち込んでも
無理かもしれない。
アクセルの矯正も、ダブルアクセルまでしか戻していないが、
これは、選手を潰してしまわないように配慮した、ギリギリのところだろう。
しかし、本当の矯正は、シングルジャンプで開くというのを繰り返しやり、
アプローチ部分を徹底的に直すのが本筋だろう。
ルッツジャンプは、NHKの番組でクーリックコーチが見せたように、
逆回転左イン→右アウトのモホークターンから左足を前から空中で
クロスしながら右足をチェンジエッジして深いアウトエッジに一旦乗って、
直前に左足アウトに踏み替えて入るルッツが良さそうだ。
そういうのも多分試していないのではないかと思う。
ルッツは、長い間片足で長い滑走から入るのが一般的だったし。
 インタビューを聞いて疑問なのは、新しい課題が見つかったという様な事を
口にするけれど、今頃見つかっているのかとか、あちらを立てれば
こちらが立たずということで、出来ていた事が別の事をやって
出来なくなって再び課題になったとか、後戻りしている様な部分があるように思う。
直前の試合で出てきた問題を直すというのは、必要な事ではあるが
それだけだと良いアプローチとは言えない。
羽生選手のように、ノートに記録として残し、見直す事によって
全体が見渡せて、無駄な練習を省いたり、調子が良い時の状態を
早く取り戻せるのだと思う。
あと、浅田選手のスピード感覚のなさは、あり得ないと思うのだけど
そういうものなのか。
浅田選手は、ショートの演技からフリーにかけて成長した事は間違いない。
もし、この成長をもっと前に出来ていたら、安定性を重視していただろうし
練習方法などが変わっていただろう。

ソチオリンピック(3)

片手を上げたジャンプは、ずっと邪道だと思ってきたが、このオリンピックでは、
悪いとは感じない完成度が高い片手上げジャンプを見る事が出来た。
それでも、難しいとはいえ、機能的でないので格好いいとは思えない。
 プルシェンコ選手は、腰を痛めて棄権したが、その前の練習で、
かなり速い滑走からのウォーレイジャンプをやっていた。
プルシェンコ選手の安定性は、カウンター系のジャンプをする事によって
何らかのバランスを取っているのかもしれない。
最近では、4回転を跳ぶのに、逆回転ジャンプの練習が役に立つとも言われるが。
 フルブレードだが、ウクライナのナタリア・ポポワ選手の3回転トウループが
そんな感じだった。スコア表を見るとエラー扱いはされていなかったが、
GOEは、ルッツのエラーエッジと同じくらい引かれている。
 結局、GOEによる採点は、6点時代と何ら変わらなく、一般の観客には
かえって分かりにくい不透明性を持つと思う。

世界選手権2014

オリンピック以外で一番重要な大会。
 浅田選手のフリーは、138.03と、ソチオリンピックの142.71より低い。
しかも、ソチオリンピック1位、2位の選手が居ない大会なので、
この大会での1位というのは、オリンピックの1位とは違う。
ソチオリンピックは、完全なアウェイになることは分かっていた。
まだロシア側のタラソワ氏とロシアを捨てたモロゾフ氏とロシア側だけど
勝手な事をしている感じのプルシェンコ選手と、その辺りを見ると
国の圧力などが分かる。
 小塚選手は、前日の練習の時4Tでスケーティングレッグに乗りすぎて重心が
残っていたり、あの遅いアプローチスピードには何かあると思っていたら、
やはり故障していたようだ。果たして手術するのだろうか。
浅田選手も、小塚選手も滑走には磨きがかかっていた。
といっても、浅田選手はショートだけ。小塚選手は、ショートの前半だけ
しかそう感じられなかったが。すべてを通してあの加速感がある滑らかな滑走を
保てていれば、評価も変わって来るだろう。
 浅田選手は、天才だけど、器用な選手ではない。
エジソンの言葉では、発明の天才は、1%のひらめきと99%の努力と
言っているように、努力しない天才は居ないのだ。
努力を楽しめることがフィギュアスケートにおける最も重要な才能で
実際に続ける事が難しいスポーツだと思う。
浅田選手の場合は、伊藤みどりさんも羨ましがる芸術性を実現した
というのがベースにあって、更にトリプルアクセルも受け継いでいる。
この両立は、才能がなければ出来ない事だろう。
 ポゴリラヤ選手の、3Lo+1Lo+3S は、あれでもコンビネーションとして
扱われるルールなんだなあ・・・。
普通、着氷した足で踏み替えなしでそのままジャンプするのが、コンビネーション
ジャンプの原則なのだけど、サルコウは、降りた右足と反対側の左足で跳ぶので
その場合の踏み替えは許される。
で、流石、八木沼さん、2番目のループを「ハーフループ」と見分けていた。
ルール上は、ループジャンプ扱いだけど、左足で降りているので、あれは
間違いなく「ハーフループ」だ。
しかし、このコンビネーションジャンプは、エラーではないかと思うのだが・・・
ハーフループでそのままサルコウに入ればいいのだけど、一度右足をついている。
体重移動はしていないものの、バランス補助になっているのは間違いない。
ここで興味深いのは、例えば、3Lo+3Sを中継ぎなしで跳ぶ事を考えると
左足軸足の3回転ハーフループジャンプというのがあれば可能となる。
しかし、その場合のハーフループジャンプは、アクセルジャンプ並みに
難しいものになるような気がする。

割合50%

パーセンテージを問われたのだったら、フィフティー・フィフティーと
答えるのが正解。多分、ハーフだと1回だけで繰り返さないだろう。
ピザには、ハーフ&ハーフというのがあるけれど、ANDで足したら
両方同時みたいな意味になると思う。
普通に家庭を持つつもりなら、早目に引退した方がいいかもしれない。
いずれにしても、次のオリンピックまでだろうなあ。
もしも、何か目標が見つかったならやるでしょう。
佐藤コーチは、基本的にまじめで保守的なので、ある意味浅田選手との
相性は、良かったのかもしれない。ただ、進歩は遅目だと思う。
日本のコーチが良いというなら、もう一人重鎮の老コーチが居るなあ。
厳しさでは、タラソワさんと似ているかも。
意外に、ルッツとか直せたりして。
 恩返しと言っているけれど、ファンにはそれほど恩はないと思うよ。
彼らは、好きで応援している訳だし、いつも十分にサービスしている。
まあ、心の支えにはなったのだろうけど。
恩返しなら、スケート連盟だろう。
先輩から受けた恩を、後輩に対して返せばいい。
返せているから、立派だよね。

佐藤信夫コーチの演技

インスブルック五輪の映像が残っていたとは・・・
スピンは、左回転なのに、ジャンプは、右回転だ。
ダブルアクセルは、踏切足軸で回って着氷間近で逆の足で降りていたり、
体の中心線で回っていたり、軸の取り方は定めていなかったようだ。
曲関係なく、失敗したフライングキャメルをやり直しているなあ。
ダブルルッツは、しっかりしたアウトエッジだね。
ジャンプ着氷の際に、フリーレッグの膝を伸ばしていたのか。
これだとチェックが遅れるよなあ。

特殊図形チューリップ

世界ふしぎ発見で、浅田選手がやっていた。
こういう図形だったのか・・・。




2014秋

羽生選手の怪我
 リンク中央で方向ルールのない場所。
 双方、バックから振り返ってのアプローチで、気付いた時には既に遅し。
 ちょっとタイミングがズレていたら事故にはならなかったと思うのだけど。
 交通事故と同じで、体重が軽い方が圧倒的に不利。
 こういう場合、重い方が相手の腕などを持ち、胴体の接触をやわらげたり
 尻餅をつくなど安全な姿勢でわざと転ぶくらいに出来るように普段から
 事故を想定しておいた方がいいかもしれない。
 なかなかとっさに行動は出来ないと思うが。
 私の見解では、胴体の衝突で、二人ともショックにより一時的な呼吸停止を
 起こしていると思う。
 羽生選手もアゴを打っているが、一応手で体重を支えていたので
 それほど強くは打っていないと思う。
 それでも、顔や頭の皮膚は、固いものにぶつけるとパックリと割れるのです。
ローラーフィギュアと浅田姉
 アイスのフィギュアの共通点としてコメントしていたが、
 ルッツの姿勢で、胸を低く構えて立てる方法だと動作が遅れ、予め立てていると
 反動を吸収するのがキツいようなことを言っていた。
 直進滑走からトウでジャンプという感じでやっていた様ですね。
 聞く限り、エッジワークが伴う、横方向の体の傾きを使うルッツではない。
無良選手
 高橋選手や小塚選手にはない本気を感じた。
 しかも、何かを掴んでいる。
 →イリア・クーリック氏の指導のようだ。
小塚選手
 ジャンプは諦めて、スピンとステップを別次元にレベルアップという
 方向性でやっているように思う。
 もし、怪我などが理由なら別の種目に転向した方が良い成績を残せるかも。
関ジャニ仕分け∞
 2008年世界選手権で、浅田選手がジャンプのアプローチ時に
 転倒した原因が、エッジを傾けすぎたからと言っていたが、
 過去の別の番組で本人は、
 「ジャンプ・タイミングでそこに氷がなかった」と言っている。
 別の人がトウ・ジャンプで空けた穴のところで踏み切ったという事だ。
 それ以来、浅田選手は、直前の練習でトリプル・アクセルを跳ぶ場所に
 氷の欠損がないか、確認するようにしている。
 あと羽生選手のカウンターからのトリプル・アクセルは、毎回の事なので
 伝説の瞬間というものではない。
その他
 荒川さん御出産めでとうとか
 村主選手の遅すぎる引退宣言とか
 ヴォーカル曲使用可能になって、雰囲気が変わったが、何か妖艶な
 プログラムが増えた気がする。

2016春

今シーズンの感想。
浅田選手は、思ったより検討していると思う。これから続けるのは、
村主選手と同じく苦難が予想される。
順位関係なく、観せたいもの、演じたいものを明確に持つ事だ。
本田(真凜)選手は、クラッシック・バレエ的な表現力が素晴らしく、
今までにない自由な振りで魅力的な演技をしている。
滑走の伸びも良くて、3回転ジャンプも安定している。ケチをつけるとしたら
ダブルアクセルが高く跳べてないかな。
羽生選手は、色々と妨害を受けているみたいだね。
プルシェンコをジャンプを正確にこなすマシーンだとしたら、
羽生選手は、もう人間じゃないくらい完璧。
こんな選手がトップに君臨したら、他の選手は5年くらい
優勝のチャンスがなくなるので、何か考えた方が良いかも。
早々に殿堂入りのような制度を作って神棚に祭るとか。
オリンピックで金メダルを取った選手は、表彰から除外されるとかすれば、
大会に参加し、ファンに素晴らしい演技を見せつつ世界最高記録の更新は出来て
良い落としどころかもしれない。
もしくは、世界選手権で金を取ったら、更に上位グレードのメダリスト大会で
戦う権利を得るとか。
若い選手にチャンスを与えるという意味では、同じ選手の連覇は面白くない訳で、
これも考えて欲しい。
とはいえ、公式練習中のマナー違反とか、世界選手権で今まで見た事がない
競技中リンクの氷が融けて水たまりが出来ている状態とか。
前半は凍っていたので、あれは冷却止めたな。SP上位選手に対する妨害。
氷が溶けると、エッジ・ジャンプに影響が出る訳で、4サルコウや3アクセルは、
直撃を食らっている。
命がけに近い努力の真剣勝負なので選手にとっては許し難いだろう。
しかし、いつ後続選手にチャンスを結弦か?というのも気になる。

大陸別対抗戦チームチャレンジカップなど

この大会は、ISU公認なのか? 小塚選手が引退宣言。アイスショーもやらないのか。
宇野選手の4回転フリップは、正味3回転半くらいに見える。
フルブレードと呼ばれるエラーの可能性もある。
アクセル跳べない人が、ターン+サルコウでアクセルが出来たと思っているレベル。
踏切り側の回転不足は、アメリカでは厳しく評価されるらしい。
4回転トウ・ループは、ほぼ完全に4回転しているのと比べると
完成度はまだまだだ。
しかしこの程度なら、回転不足の4回転で認定されるくらいかなあ。
後、残る4回転ループは、羽生選手がやるかな?
ルッツが最後まで残ると思っていたのだけど、4回転はループが最後か。
正直、難易度はどれが難しいか判断出来ない。
ルッツはどうせチャレンジするなら得点が高い方にするとか、
そんな理由で先に成功させる人が出たという感じだし。
 フリーでの宇野選手の4回転フリップは、着氷で体勢を崩したものの
踏切りは良くなったし、回転もキッチリ4回転回っていた。これなら文句ない。
良くなったというより、成功率が低い段階でのバラツキだろうけど。
ただ、ジャンプに入る時の滑走速度は遅かったと思う。

2016 ジュニア・グランプリ

紀平選手がトリプルアクセル成功。
やや着氷姿勢が沈んでいるが回転十分で問題ない。
アプローチスピードも、伊藤みどり選手やキムヨナ選手くらい出ている。
羽生選手より速いかもしれない。
そんなに高く上がれるフォームでないのに高さが出ているのは、滑走速度だろう。
アプローチ軌道もダブルアクセルに近い。
少し前にフジテレビで「来年はトリプルアクセルを降りる」と豪語していたジュニア女子選手は、
結局誰一人それを成し得なかったが新星登場。

2016 オータム・クラシック

羽生選手のループジャンプは、ショートでは着氷が詰まった感じで重心のブレが
あったが、よく見ると90度近く回転不足をうまくごまかしていた。
これは、ビデオで見ないと自分がジャッジでも回転不足取れないなあ。
フリーの方は、クリーンだった。
欲を言えば、着氷後ある程度のスピードで滑り抜けて欲しいが相当難しそう。
羽生選手のトリプルアクセルは、ダブルアクセルくらい軽くとは言えないが、
それくらい比較的浅いフォームでヒョイッとジャンプして決めている。
今まで羽生選手が怪我していたとか言っても、怪我や痛みをかばっている
感じがなかったが、今回はそれが見られた。
フィギュアスケートの回転は、体操競技では、捻りと呼ばれる。
体操選手の捻り王子が、どうやって回転を生んでいるか辺りも参考になるだろう。

4回転ジャンプが出揃った

初の4回転ジャンプ(世界公式戦)
種類 日付 選手 大会
トウループ 1988.3.25 カート・ブラウニング(カナダ) 世界選手権
サルコウ 1998.3.7 ティモシー・ゲーブル(アメリカ) ジュニアGPファイナル
ルッツ 2011.11.12 ブランドン・ムロズ(アメリカ) NHK杯
フリップ 2016.4.22 宇野昌磨(日本) 世界国別対抗戦
ループ 2016.9.30 羽生結弦(日本) オータムクラッシック
※2016.10現在、アクセルは4回転半なので別格で前人未到です。


2016 グランプリシリーズなど

パトリック・チャン選手は、体型は理想的になっている。
通常の滑走をかなりディープエッジにしているが、エッジの深さがバラついて感じる。
4回転ジャンプと相性がいい深さに統一したら良くなるんじゃないか。
ニュースで浅田選手のショートのフリップジャンプを見たとき、トウに乗りすぎている
感じがしてジャンプタイミングが遅れているのだけどトウは先についているような。
一時体重が増えていた時期があったのでそこで悪い癖でもついたかと思ったが、それほど
体重が増えた訳でもないし、減れば戻る筈なので何だろうと思った。
フリーを見ると全般的に滑走速度が上がっていた。ジャンプは跳べていないが、
速度を上げてもアプローチの入り方が浅くなったりはしていないし、
タイミングが取れていないだけで、悪い印象は無かった。
ちょっと速度を怖がっている感じがあるかも。集中してタイミングをつかむしか無い。

アニメ「ユーリ!!! on ICE」

このアニメーションが酷くて・・・たまらない。
滑走方向とか刃の方向無視して30cmくらい平気で横滑りしたり。
トウループの入り方で入って途中から急にサルコウになったり。
サルコウも右足が氷に着いていて、両エッジ踏み切りしていたり。
これではどちらかというとフリップジャンプに近い。
え゛〜という驚きがあってある意味面白いが、安心してみられるものではなかった。

全日本選手権2016

羽生選手が、インフルエンザで欠場。
まあ、頑張り過ぎだから少しは休めということなのかも。
それより、驚いたのは、浅田選手がルッツを修正していることだった。
まだ微妙な気もするが、あれだったらエラーエッジをとられないだろう。
ジャンプがボロボロなのは、ブランク期間を埋めるためではなく、
かなり大きく修正を加えているからではないかと思う。
表向き評価されない所で、着実に進化しているのはある意味恐ろしい。
このまま進化したら、本当に無敵になるかも。
紀平選手が3アクセル成功させたことで、こちらにも手を入れようとするだろうし。
滑走速度速いし、ジャンプの水平距離は、3mくらいあるんじゃんないか?
3アクセルは、今のところ身につけたものを復活させるだけで精一杯なようにも見える。

ピラミット・ダービー

フィギュアで教えているプッシュは、ショート・ストロークだからロスが大きいのはいいとして
何で小塚君は、クロス・オーバーでコーナリングしないのか。フィギュア代表失格。
片足漕ぎでは勝てないだろう。

スピードスケート

やはり、注目は小平奈緒選手と結城匡啓コーチ。
スポーツ科学というものは、科学というより現象応用なので
スポーツ工学という方が正しいかもしれない。
科学的には解明が難しいものが多すぎるのだ。
 一本下駄トレーニングは、正にアイススケート共通の乗り位置へ
正確に重心を乗せるトレーニング。フィギュアスケートの選手が
取り入れても効果が出ると思う。ただし、トレーニング姿勢は違う。
 フィギュアスケートの佐藤コーチは、上下動がないことに拘っていたが、
スピードスケートの結城コーチは、左右動が必要ないと断言する。
科学で考えると、左片足に乗って左に氷を押すと反作用で体は
右に動く筈なので、必要ないと言われても動くでしょう。
それが、従来のスピードスケートの考え方なのだ。
しかし、スケートで氷を押すとき、水平に左に押し込むというよりは、
体とエッジを右に傾けながら押すことになる。
この動きだと、反作用が起きないのか相殺されるのかよくわからないが
重心位置を保ったまま氷を押す足だけが左右に移動して、
重心を進行線上に残すことが出来るのだ。
ちょっと目からウロコかもしれないね。
左右動の相殺の理屈は、左足に乗っている場合に関して説明すると
左足滑走方向が少し左斜め前になっていると重心は左に移動しているので
氷を左に押した反作用で重心が右に動けば、進行線上に重心を残せる。
反作用を相殺するのではないのだ。変位の相殺。
見かけの進行線上に重心を保つというのは、足の滑走方向角度と押す力の
微妙なバランス調整が必要なことは言うまでもない。
左右動を押えたこの方法がベストかはまだ証明されていないので、
このバランスを崩して左右移動ながらも、もっと氷を後ろに押せる
方法があるならその方が速いかもしれない。

→続き

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