芸術論

芸術性とは

 美しさ、調和、バランス、など結果としては「美」を意識する。
 しかし、芸術は、自己表現であり精神的なものである。
 制約を十分に知ることによって調和が生み出せる。
 真似するのではなく、自分で工夫することによって創造性が生まれる。
 無駄を省き合理性を追求することで動きが洗練されて行く。
 競技者が難しいことにどう挑戦しそれをどう手中に収めるか
 そういった態度や、精神を研ぎ澄まして挑む姿がそれ自体芸術である。

芸術性と楽しみ

 体操競技でも舞踊でもそうだが、良い動きを見ると、つられて同じ様に体を動かしたく
 なるような衝動が生まれる。そうでなくとも心の中にそれを描こうとするだろう。
 私は、これがすべてのスポーツに共通する芸術性であると考えている。
 音楽を聴き、心がリフレッシュし、気持ちに躍動感がうまれるのもこれと同じ。
 良い演技・表現は、演技者が思い浮かべるイメージを的確に観客に伝え共感を生む。
 元々のイメージが価値あるものであり、表現が適切であるとき初めて感動が生まれるのである。
 そして、何より大切なのは、自ら楽しんで滑ることであろう。
 技術と芸術性は全く別の評価になるが、形(既存の技術)から入る学び方が一般的な中、
 技術が低いと芸術性を全く表現出来ないかというと実際にはそうではない。
 その技術レベルに応じた芸術表現は出来る。逆に、芸術性(精神性)を追求すれば
 技術は後からついてくる・・・とも言えるのではないかと思う。

的を得た表現

 いくら高度な技を身に付けても、それが模倣であれば物まねで終わる。
 技を自分のものにしていないと、表現自体浮いてしまうものだ。
 特に、女性の場合は、感情が先行して表現に至らない場合が多い。
 どうしたらいいか分からないのではなく、何もしようとしていないに等しい。
 安易な動きに感情を託しても説得力がなく、無駄な動きに見える。
 どうすれば自分を美しく見せられるか?・・・ではない。
 自らの輝きを表現したければ、集中力を保ち真剣に取り組むことだと思う。
 ある意味自分の限界に挑戦した時、自分らしさが出るのではなかろうか。
 スケーティングでしか味わえないスリルや爽快感。
 そういうものを感じさせながらそれを楽しんでいる自分をアピールすればいい。

断片的なヒント

 しっかりと氷をつかみ、加速感のある滑りをすること
 進行方向を意識して身を乗り出す様に滑ること
 常に少し先、次の動作を思い浮かべながら滑ること
 肩のラインを意識すること(多くの動作は肩から始まる)
 遠くをほぼ水平に見渡し、リンクの広さを感じ取ること
 不必要に恐がらず、甘えず、集中力を保つ
 見えない手摺を得た様に、不安定な動作を確実にこなす
 手足をすっと伸ばして美しく決め、最後まで余韻のある動きを
 ゆったりと動作を大きく見せること
 上体と腰から下の独立と連動を使い分ける
 浮遊感のある動作、地上でのステップと同に見える余裕
 見ている人がスリルを感じる程の躍動感
 絶対位置や空間を意識的に把握、計画してその通り滑る
 吸い込まれる様に滑らかな連続性を保つ
 フリーレッグによる回し込みによる滑らかな回転運動
 静と動のダイナミックレンジと静の中に秘めた動の表現
 重い動作を軽く演じること
 力で滑るのではなく、力を目的の動作に導く
 無駄な動きを排除して合理的に
 フォームの厳密さとアドリブの奔放さの融合
 筋肉の緊張と適度な脱力(適度なリラックス、肩の力を抜くなど)


(C)1999 ICE_NINJA ALL RIGHTS RESERVED.

0 件のコメント:

コメントを投稿